第4章 カエルの正体
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「よし、お腹も一杯になったし次は仕事だよね」
部屋に戻ってお腹を落ち着けた私は何かお手伝いをしようと思い、そのお願いをしに秀吉さんの部屋を訪れた。そこにたまたまいた政宗(本人からそう呼べと言われたからそう呼ぶ事にした)に「ちょうど人手が欲しかった」と言って台所へと連れて来られた。
「伽耶だ。何でもいいから手伝わせてやってくれ」
政宗さんはそう言いながら着物の袖を縛り上げて包丁を手に持った。
「伽耶です。宜しくお願いします」
その姿を不思議に思いつつも、私は台所にいる女中さんたちに頭を下げた。
「…ですが織田家のお姫様にここの水仕事など…」
女中さんたちは私を織田家縁の姫と信じて皆戸惑っている。信長様は本当に私を織田家縁の姫と言うことにしてくれているらしい。
「私は姫とは名ばかりで庶民育ちですし結構慣れてますから遠慮せずなんでも言ってください」
(500年後の世界では超ド庶民ですから…)
「そう言う事だ。この厨は俺が立ってる時点で何でもありだろ?気にせず使ってやってくれ」
「政宗も料理するの?」
(この時代、男子厨房に入るべからずみたいなイメージだったけど…)
「ああ、俺のは趣味だな。人に美味い飯食わせるのが好きなだけだ」
「そうなんだ」
武将でイケメン、長身、料理上手って、最高じゃん!
でもここまで揃ってると何か粗を探したくなると言うもの。
(もしかして、性格に問題あるとか?)
じーっと政宗を見ると、
「そんなに見つめると口づけるぞ」
急に顔が超至近距離に迫って色っぽく囁かれた。
「わぁっ!何でそうなるの!」
「お前が欲しそうに見て来たんだろ」
「欲しそうにって…」
キスしたそうだったって事!?
なんだってここの武将たちはみんなそう言う恥ずかしい言葉を簡単に口んするんだろう。あまりそう言うストレートな物言いに慣れてない私の顔は常に熱くて仕方がない。
「面白いほどに赤くなったな。ほら、これ剥いてその顔冷ましてろ」
キャベツをポンと渡され、政宗は包丁で魚を捌き出した。
(本当に料理できるんだ)
魚を捌けない私はその手捌きに見惚れながらキャベツを剥き出した。