第4章 カエルの正体
(もう、本当に信じられないっ!みんなにペラペラ喋るなんてっ!
「伽耶、ちゃんと噛んで食べろよ」
「分かってますっ!」
秀吉さんがバクバクご飯を口に運ぶ私に注意するけど、こんな状況でちゃんと噛んで食べられるわけないっての!
「さすが信長様を炎の中から助け出しただけあって、食べっぷりも豪快だな」
今度は光秀さんが私を揶揄う。
「腹が減っては戦はできぬと言いますから、信長様や皆さんに負けない様に食べるんですっ!」
「ほぅ、それはそれは、だがそんな色気より食い気で御館様に勝てるとは到底思えぬが、お前が今後どうなるかは見ものだな」
「うう…光秀さん、楽しんでますね」
「安心しろ。楽しんでいるのは俺だけじゃない」
周りを見ろとでも言うような目線に周りを見れば、皆何かを期待したような目。
「……っ、私は三ヶ月後、必ず自分の家に帰りますからっ!」
(みんなの思い通りになんて絶対にならないんだからっ!)
「貴様、朝からいい食いっぷりだな。ますます気に入った」
信長様はとにかく楽しそうに笑う。
「だからそういう事言わないで下さい。嫌いになりますよ?」
(言葉責めは苦手だ。私の中で一番蛙化現象が起こりやすい原因の一つだ)
「お前、信長様に失礼だぞ」
「秀吉良い、言わせておけ、じきに慣れる」
「なっ、慣れたりしませんっ!」
朝から散々揶揄われたけど、みんなとの距離が少し縮まった気がした。
変わった人達だけどイケメン。戦国武将ってこんな感じなんだ?と、私の警戒心は少しづつ緩み、これらかの賭けに備えて朝ごはんもしっかりと頂いた。