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【イケメン戦国】オレ様とカエル

第23章 今川の姫



「私が聞きたいのはそんな言葉じゃない。家康の気持ちを教えて!私のこと…少しも好きじゃない……?」


真っ直ぐで淀みの無い目が俺の心を覗こうと必死で見つめてくる。


「……っ俺は…楓の事…そんなふうに考えた事はない……」

「それが…家康の気持ち?」

「そうだよ………」


「……っ、でも私は家康のこと大好きだし、家康のお嫁さんになりたいと思ってるよ……?」


両目に涙を溜めて言葉を紡ぐ彼女をもう見ていられなかった。


「………忙しいんだ。そろそろ出てってくれない?」

「っ、ごめん..なさい」


冷たい手が俺の手から離れて遠ざかって行く。

まだ手の平に残る楓の冷たい感触を逃さないようにギュッと拳を握りしめた。

「……俺といたって幸せになんか絶対になれないっ!」

それに、俺を待ち侘びる三河の者たちを差し置いて、自分だけが幸せになるなんて許されるはずがない。

楓はこの時を境に俺の元へ来る事はなくなった。

そしてその数ヶ月後、俺は信長様と同盟を結び今川の領地を出た。

そして今日までひたすら武功を上げ領地を拡大する事に邁進して来た。

織田軍によって今川家は滅ぼされ、その一端を担った俺にはもう楓のことを思い出す資格は無かった。

ただあの日、楓を泣かした日から俺は、どんなに飲んでも酒に酔えなくなった。




・・・
・・・・・・・・

伽耶に言われるまでもなく、あの遊女屋に入っていったのは楓だって分かってる。


「何やってんだよ…」

あんたは幸せになってなきゃダメだろ……


「って、どの口が言ってんだ……」

今川を滅ぼしておいて、楓の幸せを望むなんて矛盾してる。

けど、

「一体何があった……?」

調べる必要はありそうだ。


「誰かいる?」

外に向かって声を掛ければ、家臣の一人が部屋へと入って来た。


「急ぎで調べてほしい事がある……」


いつも俺を気遣い助けてくれた楓…


今度は、俺が助ける番だ……っ!








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