第22章 似合わないもの【恋仲修行 〜三成目線〜】
「……っ、自分は恋文をもらったり遊女屋で遊んだりするくせに勝手です」
「恋文は全て処分した。今後もいかなる理由であろうとも貴様からの恋文以外は受け取るなとも命じておいた」
「ほんと…?」
「本当だ。だからそろそろ機嫌を直せ。…ああ、だが貴様の悋気は可愛い。それはこれからも見せよ」
ニヤリと口の端が釣り上がり、最後の仕上げのように唇を重ねた。
「……っ、少しだけキセルの味がする」
苦いけど、蕩けそうなキス。
「嫌ならば二度とキセルに手を出そうなどと思うな。貴様との甘い口づけが台無しになるからな」
「っ…恥ずかしいこと言わないで下さい」
「本当のことだ。貴様の口づけは甘い。こんなにも俺を夢中にさせる甘い口づけは貴様しか知らん」
本当にズルい…
結局私はこの人の掌の上で思い通りに転がされている。
どれだけやきもちをやいて怒っていても、好きだと言う思いを口づけに乗せて伝えられるだけで、気持ちはドキドキとときめいてしまう。
「ん……っ、」
銀糸をひきながら離れる唇にもっと触れたくて、
「もっと…」
熱に浮かされた唇を自分から押し当てた。
「…っ、酒を煽りすぎるのも今後はやめておけ」
欲しがる私の唇を僅かに離して信長様がため息をついた。
「…っ、ごめんなさい」
「叱っているわけではない。そのように煽られては俺の身がもたん」
「うそっ信長様なんていつも余裕で、私ばかりが好きで苦しくて…っん!」
言い終わるや否や壁際に寄せられると噛み付くようなキスをされた。
「んぅ……っ」
熱い舌が私の口を強引に開いて口内を掻き回す。
「っ……はっ」
強く吸い付き絡めてくる舌に呼吸は乱され、ゾクゾクとした感覚の中、時折唇を離してもまたすぐに塞がれ舌を絡め取られた。
「はぁ……っ」
自然と浮かぶ涙は頬を伝うのに、信長様は何度も角度を変えては深く濃厚なキスを続ける。
(舌が痺れて、腰が砕けそう……)
快楽と息苦しさの狭間で必死で信長様の舌に応えるけど限界は近そうで…
信長様の胸元の着物を掴む手の力が入らなりずり落ちた時、ようやくの信長様は唇を解放してくれた。
「はぁ、はぁ……」
「俺が余裕かどうか、貴様がその体で直接確かめよ」
不敵な笑みを浮かべた信長様に抱き上げられ、そのまま知らない部屋へと連れ込まれた。