第22章 似合わないもの【恋仲修行 〜三成目線〜】
「貴様らは先に行け。俺はこやつの酔いを冷ましながら行く」
「ですが信長様、伽耶がこの状態では連れ帰るのは一苦労かと…」
「近くに宿を取らせた。そこに連れて行く」
「かしこまりました。では明日の朝お迎えに上がります」
秀吉さんは信長様に頭を下げ、
「おい伽耶っ、お前明日城に帰って来たら説教だからな!」
私には怖い一言を置いて帰って行った。
「秀吉さんこわ〜い!これもぜーんぶ信長様が悪いんですからね〜」
「分かったから俺に掴まれ」
信長様は私の脇を抱えて歩き出す。
風がひんやりとして、外へと連れ出されたのが分かった。
「えーー、帰りたくな〜い!まだ飲む〜」
「これ以上飲んでどうする、まだ俺への不満を言い足りぬのか?」
「不満なんて…ないけど、やっぱりあるもん!まだまだ全然言い足りなーい!信長様の浮気者ー」
「ったく、とんだ酔っ払いだな、そんなに不満があるのならば後で聞いてやる。おいっ、着物をそれ以上下げるなっ!」
お酒で火照った体を冷ましたくて着崩して着ていた着物をさらに開こうとすると、信長様の手がそれを止めた。
「どうせ、こんな格好似合ってないって思ってるんでしょ!」
「ああ、そうだな、貴様には全然似合っておらん」
「……っ、ひどいっ!」
動きを止めて信長様の胸を押した。
「信長様には私の気持ちなんて分からないんですよ、あんなに沢山の恋文をもらう彼氏を持つ私の気持ちなんて…」
カッコいい女になりたくても似合わないと言われてしまって、もうどうしたら良いのかわからない。
「悔しい…私はこんなに信長様が好きなのに、信長様にとって私なんてどうせ…んっ!」
話の途中で体ごと引き寄せられたかと思うと、唇を奪われた。