第22章 似合わないもの【恋仲修行 〜三成目線〜】
「社会勉強と言うことでしたら、伽耶様、今宵は私たちの仕事体験をしてみませんか?」
「え?」
「は?」
思いがけない女将からの提案に、私と信長様は同時に反応した。
「如何ですか?」
「はい、お願いします」
「却下だ、許せるわけなかろう!」
またまた同時に反応…
「え、ダメなんですか?」
「何故許可できると思っておる?」
「え?……あっ!」
そっか、体験とは言え他の男の人にお酒を注いだりするのはいい気はしないよね…?(私なんて恋文だけで頭突きした訳だし…)
「そ、そうですよね。ごめんなさい」
「信長様、ご心配なさらずとも伽耶様は信長様以外にお付きにはなりませんわ。ですから暫く私に伽耶様をお貸し頂けますか?」
「む……」
信長様はまだ何かを言いたそうにしていたけど、信長様付きと言う言葉で何とか納得をしてくれ、私は女将に連れられて艶やかな装いへと変えてもらい、再び広間へと戻った。
「おおっ!」
広間に入ると、そんな歓声が上がった。
「信長様、如何でございますか?」
着物を着崩しバッチリヘアメイク姿の私を、女将は信長様の前へと連れて行った。
お酒を飲んでいた信長様は私を見ると、飲むのをやめて暫くじーっと私を凝視した。
(自分ではとても素敵に変身させてもらったと思うけど、どうかな…)
「まぁ、悪くない…」
褒めてくれると思っていたのに、信長様はそれだけ言うとまたお酒を口にした。
(あれ?思ったよりも反応が薄い)
「さ、伽耶様どうぞ信長様の横に。後は店の女達を見て色々と真似をして見てくださいませね」
そう言って女将は信長様の反対側にお店の女性を一人座らせ広間から出て行った。
信長様の向こう側に付いたのはきっとこの店のNo. 1!
(ちょっと待って、こんな美人が隣に並ぶなんて聞いてない!)
白い肌に大きな瞳、そしてぷっくりとした唇に赤い紅がよく映えるとびっきりの美人だ。
「信長様、さ、ご一献」
信長様になだれ掛かるようにお酒を注ぐと、着崩した着物からは華奢な体に似合わぬ大きな膨らみが谷間を作りチラ見せをする。
彼女の仕草も気になるけど、もっと気になるのは信長様の視線!
じーっと信長様を覗き込んで視線の先を探ろうとすると、信長様は呆れた様に目を閉じてお酒を口にした。