第22章 似合わないもの【恋仲修行 〜三成目線〜】
「伽耶様、この文は確かに信長様の事を恋い慕う歌が書かれております」
「やっぱりそうだよね…」
分かってはいたけど、やっぱりラブレター(恋文)だったんだ。
「この文がどうかしたのですか?」
「あ、ううん、なんでも…無くはないけど、でももう終わってる事だろうから怒っても仕方ないからいいの」
付き合う前の事だろうし、気にしちゃだめだめ!
「いいえ伽耶様、この文に挟まれたこの紅葉はまだ新しいものです。ですから、この文はごく最近信長様に届いたものだと思います」
「ええっ!」
ごく最近っ!?
「三成君、それ本当?」
「ええ、本当ですよ」
「うーーー、信長様の嘘つきーーー」
正確には、信長様は何の嘘もついていない。それどころか、まだ本人確認すらしていない、しかも内緒で持って来た文なのになぜかとても裏切られた感が…
「ごめん三成君、私用事ができたから今度ゆっくり読み書きを教えてくれる?」
こうしちゃいられない。
「はい。いつでも喜んで」
「ありがとう。急に来てごめんね」
モヤモヤする事はすぐに解決すべしっ!
信長様に直ちに問いただすべく三成君の部屋を出たけど…
「あ、何度もごめんね」
(これだけは聞いておかないと)
「ちなみに、この文には何て書いてあったの?」
「この文には、今宵こそ、あなた様の夜の訪れをお待ちしております。と言った内容が書かれております」
「………っ、ありがとう三成君」
何とか笑顔を作って三成君の部屋を出たけど…
夜の訪れって…、今宵こそって…、完全に夜のお誘いじゃん!
このモヤモヤをどうすれば良いのかなんて全然分からないまま、私は文を握りしめて、再び天主へ戻った。