第21章 深読み注意
「信長様、姫様はもしかして… 、お腹にややができたのではありませんか?」
「………は?」
「食欲がないのは悪阻で、乗馬を拒否されたのもお腹が微妙だと伝えられたのも、そう考えれば辻褄が合いますわ」
「子…だと?」
「はい。姫様はおそらくご懐妊されたものと…」
確かに女の言う通り辻褄は合うのかも知れんが…
「そんなはずはない」
奴と共に夜を過ごすようになってまだふた月あまり、何よりも子を望まぬと言った奴の望み通りに子はできぬように抱いている。
「信長様、子は互いの相性が良ければどんなに回避しようとも自然と授かる時もございます。姫様が今縫われているお着物は、ややのおくるみやもしれません」
「………っ」
(伽耶に子だと……?)
この女の言う通り、愛おしさのあまり余裕なく伽耶を抱いた夜もある。子ができていても不思議ではないやもしれんか…
「奴に直接確かめる」
盃を置いて立ち上がり、奴の部屋へと向かった。
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宴の席でそんな誤解が生じているとも知らず、私は呑気に作務衣作りに励んでいた。
「出来たっ!」
ヨガに使うからと、鮮やかな色合いの布で縫い上げた作務衣は、予想よりも可愛く仕上がった。
早速試着をしてみると、予想通りの出来栄えに気分は益々上がっていく。
「ちょっと久しぶりにやってみようかな」
善は急げ、思い立ったが吉日だ!
軽くストレッチをした後、記憶をたぐりながらヨガのポーズを決めていく。
バッタに、犬に、ラクダのポーズ、としていくと、気持ちよく体が解されていく。
立ちのポーズもそろそろと思い、中腰のポーズをとった時、
スパンッと、自動ドアよりも勢いよく襖が開いた。