第21章 深読み注意
「信長様っ!今夜は用事があって遅くなるので天主へは行けません」
作務衣を今日中に作り終えたい私は、昼間廊下で信長様と会ってそう伝えた。
「用事とは何だ?」
予想していた通り、信長様は顔を顰めて質問をして来た。
「それはあの…、どうしても今夜中に作りたい着物があって…」
「それは、俺と過ごす時よりも大切だと、そう言っておるのだな?」
「っ、それは…」
(そんな拗ねた顔反則すぎるっ!)
萌きゅん過ぎて心が折れてしまいそうだけど、今はこのたるんだ体を何とかすることの方が大切!
「これは、私と信長様にとってとても大切な事なんです。ですからお願いします」
好きな人の前ではいつまでも綺麗でいたいし、信長様にガッカリされたくない。これは、二人にとって大切な分岐点なのっ!(←大げさ)
「その大切な事が何かは話せぬと言う事か?」
私を壁側に寄せて口づけされそうな距離で聞かれたけれど…
「も、もしかしたらもうお気づきかもしれませんが…今はまだ言えません」
私の体が甘やかしボディになってる事は信長様の方が良く知ってると思うけど、引き締まった時にはこんな事があって頑張ったんだよって、ちゃんと言いうから今は言えないっ!
(だから分かって下さいっ!お願いします!)
あとは必死で目で訴えた。
信長様は暫く難しい顔で私と見つめ合った後、
「………良かろう。今宵は貴様の願いを聞いてやる」
渋々だ。と顔に書いてあったけど、なんとか了承してくれた。
「はい。ありがとうございますっ!」
猶予は今夜だけ。明日の夜からは、当分部屋を真っ暗にしてもらおう(聞いてくれるかは自信ないけど…)
「今から城下へ行くのか?」
私の抱える荷物を見て信長様が聞いて来た。
「あ、はい。仕立てた着物をお店に納めに行く所です」
「俺も視察へと外へ出る。共に来い」
どんな時も私の彼はとても優しい。
でも、信長様に甘えず出来るだけ歩くって決めたばかりだから…
「あ、えっと……、今日は大丈夫です。ありがとうございます」
「どう言う意味だ?」
分かりやすくムッとした信長様にまた愛おしさは募るけど…