第19章 譲れない事もある
「え?それは…昨夜お断りしましたよね?」
恥ずかしいから無理って伝えて、抱かれてる最中だったから話はそのまま流れちゃってはいたけど……
「却下したはずだ。了承した覚えはない」
「なっ!」
出たな、オレ様っぷり押し付けパターン!
……でも、
「私…イヤだって言いました」
今日は絶対に引けないっ!
「俺は”イヤ”ではない」
「そ、そんなの…」
あったりまえでしょう!信長様が提案したんですからっ!
「観念しろ、俺が決めた事は絶対だ、例え貴様でも覆せんっ!」
「なっ…」
なんて清々しいほどのオレ様っぷりっ……
いやいや、ここは感心してる場合じゃない!
「私だって嫌な事は絶対に嫌です!聞き入れられませんっ!」
カエル症を甘くみないでっ!時には逃げる以外に反抗だってできるんだから…っ!
「ふんっ、じゃじゃ馬め」
はぁはぁと、言い返しただげで息が上がって興奮する私を見て笑うと、信長様はチュッと、悪戯なキスをした。
「……っ、」
(ダメだ、嬉しい……けどこんなことで誤魔化されちゃいけない。でも…)
心の中はさまざまな種類のドキドキが行き交い忙しい。
「…っ、じゃあ、湯船に入るまでは…絶対に目をつぶって下さいますか……?」
嫌がってばかりじゃダメだと思い、譲歩案を出してみた。
「………………………良いだろう」
「今、すーーーっごく間がありましたよね?」
絶対約束破る気でしょ!
「分かったと言っておる。それに何事も試してみねば分からんだろう?つべこべ言わずに今夜は言われた通りに来い」
最後は若干キレ気味で言われてしまったので、それ以上は言い返す事ができず…
話はそこで終わりとなり、私たちはそのまま朝餉を食べに広間へと向かった。