第19章 譲れない事もある
「あっ、………っん、」
「貴様の好きな場所も、弱いところも知り尽くしておる。羞恥などすぐに消し飛ぶ」
「ぁっ、…でも、…ふっ、ぁ、いや、ぁ、なんです」
「ふっ、今の”イヤ”はどちらの”イヤ”だ?」
意地悪な質問を落として、信長様は深く私を突いた。
「ぁぁっん……!?」
快楽が大きなうねりとなって押し寄せる。
「あっ、、、っ……!!」
耐えようと敷布を掴むと、信長様の手がそれを解いて指を絡めた。
「握るなら俺の手にしろ、温めてやる」
信長様は私の手を掴んで温もりを分け与えるように包み込む。
さりげなくされる甘い態度に、身体中がキュウっとくすぐったくなる。
「……っ、いきなり締め付けるな、こんな事が嬉しいのか?」
「……っ、はい」
だって、本当に嬉しい…
信長様と体を重ねていると、温もりを分け与えられている事が全身で感じられて、欲を満たすためではなく、互いの気持ちを伝え合うための行為なのだと感じられる。
「っ、阿保、そんな顔で煽るな」
「………っ、あっ、」
どんな顔なのかは分からないけど、快楽に酔わされた締まりのない個人的には見せたくない顔なのは確かで…
それでも私の中の信長様の質量が増して、信長様こそ、私の決して可愛くない顔で興奮してくれるのかと思うと、嬉しさで更にキュウっと下腹が疼いた。
「………っ!」
動きを止め、何かに堪えるように顔を少し歪ませる信長様はとても艶っぽくてドキドキしてしまう。
「油断ならん奴だ」
ニヤリと笑った顔が近づき呼吸を奪われ、そのまま押し寄せてきた快楽に呑み込まれたため、お風呂でするかも問題はあやふやなままとなった。
〜翌朝〜
「今夜は夕餉前にここへ来い」
支度が終わり部屋を出ようとした時、信長様がそう言っって来た。
「…え?一緒に夕餉を食べるって事ですか?」
いつもはお風呂もすませてからここに来るのになんで?(嬉しいけど)
「夕食を共に済ませた後に、湯浴みをする」
嬉しい気持ちは一瞬で吹き飛んだ。