第18章 未来を知る者
「あ、あの、信長様待って下さい……!」
(ここにいる商人の方々はどうするんでしょうか…?
さっき、タダで返すわけには…とか何とか言ってましたよね?)
「ああ…」
最後まで言わなくても理解した信長様は商人の方へ体を向けた。
「こやつに似合うと思うものを何点か見繕って置いて行け。(伽耶が)気に入ればまた呼んでやる」
「ははーっ!」
何とも上からな物言いだけれど、ウィンウィンな関係を築けているからこそなんだろう(多分…)
結局、今日も信長様に何かを買ってもらう結果となった私は、それに少しでも見合う人になれる様に頑張ろうと、私の手を引いて前を歩く信長様の背中に誓った。
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信長様の馬に乗せてもらい、私たちは城下から少し離れた農村部をいくつか見て回った。
今年は洪水に見舞われた土地もあったけれど、全体的に豊作だったらしく、農村では秋の収穫の真っ盛り。
馬に乗っている人物は限られてくる為、蹄の音がすると皆振り返り、信長様だと分かると地面へと平伏して行く。
「頭を上げよ、動きを止めずともよい。そのまま続けよ」
その度に信長様は作業を続けるよう促す。
そして何人かの人が新米を食べてほしいとか、収穫したお芋を焼いたからどうぞと言って持って来てくれた。
「ん、うまい。いい出来だ」
「ほんと、甘くて美味しいです」
作ってくれた人々の顔を見ながら、収穫したての物を頂けるなんてとても贅沢で幸せだ(しかもオーガニック)
「信長様、美味しい物を頂いたお礼に、少し収穫のお手伝いをして行きたいのですが…」
信長様が美味しい食べ物の礼にと言って金子を渡そうとしたけど村人たちは断ってしまったから、せめて何かお手伝いをして感謝を伝えたい。
「構わん、好きにしろ」
「はいっ!」
私と信長様は、村の人たちと一緒にお芋掘りを楽しんだ。