第16章 夜の誘い方
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その後も様々なチャレンジをした。
偶然に廊下で会えた時に、二人だけの夜のサインを決めて出し合って見たけど、中々上手く伝わらず信長様の眉間にシワが刻まれたのを見てすぐに却下。
それ以外にも、仕事の合間を縫って夜の約束を信長様にしに行く事にしたものの、会った途端夜の話をしたら信長様がそれに煽られその場できゃーって事になってそれも却下…
そんなことが続き、結局……、
「伽耶様、信長様がお呼びです」
「は、はい」
振り出しに戻った……
「何だ、何か言いたそうだな…?」
一緒にお酒を飲みながら、恨めしそうな顔をする私に信長様は笑いながら問いかけた。
「別に……」
言いたそう、の内容を分かってるくせにそんな質問をする信長様に、私は素っ気なく答えた。
「口を尖らす貴様も愛らしいな」
何がそんなに楽しいのか、信長様は私の顔を覗き込み、掠めるだけのキスをする。
「……っ、こんな…誤魔化されません」
信長様のキスに弱いって言う事も分かってるくせに…
「ならば、これなら誤魔化されるか?」
「え?……わっ!」
いつもながら鮮やかな手つきで信長様は私を押し倒す。
「っ、こんなんじゃまだ誤魔化されません」
「ふっ、泣きを見る前に降参したほうが良いぞ?」
寝間着の紐が解かれると、袷は自然に緩んで熱く大きな手の侵入を簡単に許してしまう。
「ん………っ」
(これは本当に、泣きを見る前に素直になったほうがいいかも…)
口を尖らし拗ねる事をやめようと思った時、
「!この珍妙な着衣は何だ?」
寝間着を大きく開いた信長様は訝しげな声を上げた。
「え?……あ!」
そう言えば忘れてたっ!
倒されていた体を起こし、私は寝間着を軽く合わせて隠した。
「何だそれは?」
「これは…下着です」
「下着?」
「あの…私の時代では老若男女問わず、着物の下に大切な場所を隠す下着ってのを着るんです。この間信長様に着替えてる所を見られてしまったので、今後はそんなことがないように、下着を作ってみたんですけど…だめでした?」
未来から着て来たブラとショーツを元にデザインして縫ってみたけど、ゴムのないこの時代、素材の限界はやはりあって、不恰好なのには違いない試作段階の下着をつけていた事を忘れていた。