第16章 夜の誘い方
「伽耶、貴様は俺のもの。貴様を見るのも触れて良いのも俺だけだ」
「っ、ぁ……っはい」
「次またその様に無防備な姿を晒せば容赦はせん、分かったな!」
「わ、分かりました」
これは、衝立を使えと言うことなのだろう。
衝立は、ここに来たばかりの頃は不安でビクビクしてたから使ってたけど、今はすっかり自分の部屋で安心しきってるからパァっと脱いで堂々と着替えてた。
現代の彼氏彼女の様な一夜を…と思っただけなのに、お仕置きを受ける羽目になるとは思ってなかった。
前に佐助君のことを話した時に、もしかして束縛するタイプ?なんて思ったけど、実際はそれ以上に信長様はヤキモチやきな人だと、段々分かって来た。
「良い返事だ」
納得がいったのか、オレ様な笑みを私に向けると今度は優しく触れて行く。
「ん……っ」
(お仕置き…終了かな……?)
「伽耶」
この艶のかかった低い声で名前を呼ばれるのがたまらなく好き。
「信長様…」
それに、目が合えば熱い口づけで応えてくれる。
「んっ、……ふっ、」
強引にされるのも優しくされるのも、束縛もヤキモチも、信長様にされるのは全てが嬉しいに変わってしまう。
「あっ、……んんっ!」
「伽耶、随分と気持ち良さそうに声を上げているが、分かっておるのか?」
お仕置きも終わったし…と、与えられる熱に素直に応じていると、信長様がそう言って笑った。
「え……?」
「ここは貴様の部屋で、襖と壁一枚しか隔てるものはない。そして天主のように、俺達だけがいるという訳でもな」
「えっと…それはどう言うこと…………っ!」
まさか、声が…外に漏れてるってことっ!?
「気付いたようだな」
口に当てようとした私の手を掴み取り、信長様は口角を上げた。
もしかして…私の部屋だと私が困るって言った理由はこれ!?
「言っておくが、今更待ては聞かんぞ?」
愉快な笑みを浮かべる悪魔は、新たな楽しみを見つけたとばかりに、私の弱い所に触れて来る。
「っあ、!……っそこ、だめ、」
「感度が良いのも考えものだな」
( っ、絶対楽しんでるっ!)
「ああーーーんっ!」
声を抑えるどころか、いつ以上に嬌声を上げる結果となり、信長様に私の部屋へ来てもらう作戦はその日をもって終了となった。