第16章 夜の誘い方
「わっ、信長さまっ……?」
「気に入らん」
「え……?」
「貴様が俺のもので、夜毎抱かれている事を知られるのがそれ程に嫌か?」
「それは…嫌と言う言葉には語弊があります。でも、皆に知られるのは恥ずかしいんです」
「俺と夜を過ごす事が恥だと言いたいのか?」
「違いますっ!ただ私は信長様と違って、こう言う事には慣れてないんです。好きな人との事は、特に夜のそう言った事は二人だけの秘め事でいたいと言うか…」
だって、親しい友人にだって、昨日また彼氏としちゃった!なんて話は私はしなかったし…(社内恋愛のため隠していたし…)本当に慣れていないから…
「俺と貴様の秘め事か…、それは悪くない響きだが、それでもまだ気に入らん」
唇の触れる距離に顔を近づけ信長様は不満を口にした。
「え、後は何が……っん!」
答えを言う前に唇は塞がれる。
「ん、…っ、待って…んん……!」
不意にされる強引なキスは、あっという間に息苦しさを連れてくる。
「んん……っ」
頭を捩って空気を求めると、頭と背中に回された腕にガッチリと掴まれ更に深く探られた。
「ふっ……ん…っ」
舌を絡め取られ吸い上げられ、淫らな水音が部屋に響く。
キス一つで息が上がることも、力が抜けてしまうことも、下半身が疼くことも、全てが信長様として知った初めての経験で、
クチュ……と、この唾液が絡む音すらもまた、お互いの求め合っている気持ちを表しているように聞こえて、もう、何を話していたのかも薄らいで行きそうなほどに頭の芯が痺れて行く。
「ぅん……」
やがて全てを吸い付くされたように、私は信長様の胸に落ちてしまう。