第14章 かくれんぼ
「……はぁ、…っ、」
「俺の腕の中にいる時は逃げること許さん。覚えておけ」
「はい。……んっ」
信長様の言葉が、キスと共に頭の中に溶けて行く。
逃げる事は許さないんじゃなくて、逃げる事なんて出来ない。
「んっ、……ん、」
頬に当てられた大きな手は苦しさを覚え離そうとする私の頭の動きを阻止し、更に深い口づけを落とす。
「はっ、…あっ、…」
逞しい腕が私の腰に回されれば身体中に熱を灯され快楽を連れて来る。
「ん、ダメっ…あっ、」
鍛えられた体が私を押さえつけ退路を完全に塞いだらもう、信長様の快楽に落ちていくだけ。
「ふぁっ、あ、、やっぁ、あっ、」
「ふっ、だめもやだも何も聞かんと言っただろう?」
艶のかかった低く太い声が私の耳元で意地悪に囁き体を蠢かせる。
「ぁっ、…信長様…っ、……ああっ、」
「良い声で泣く。もっと聞かせよ」
「ぁんっ、…やっ、…っぁ、ふっ、んぅ…」
繋がる体と幾度となく重ねられる唇と絶え間なく続く律動で、体が絨毯に溶け出す様な感覚に落ちていく。
逃げたくなるほどの快楽の中、必死で信長様の背中にしがみつけば、逞しい腕が私を支えて言い表せないほどの甘さと幸せを与えてくれる。
「伽耶…」
「…ん、信長様……」
愛おしそうに名前を囁かれる中、今夜も愛しい人の腕の中で熱に溺れ、私のかくれんぼ騒動も幕を閉じた。
・・・・・・・・・・
「っ、増えてる…!」
コトを終えた後、襦袢を着ようと半身体を起こすと、致す前よりも増えた痕に目を疑った。
「まだ余白はある」
横で肩肘をついて私の着替えを見ている信長様は楽しそうに口の端を上げて私の着替えを邪魔して来る。
「見えない所でお願いしますって言ったのに…」
鏡で首筋を見れば、どうにも隠れない場所に堂々と付けられている。
(お白粉で隠れるか不安だな…)
「貴様の肌が俺を誘うから仕方ない」
今後も聞く気はないとでも言いたげに笑うと、ゴロンと、着替え中の私の膝の上に頭を置いた。
(もう、まだ着替え中なのに…)
困るけどこんな風に甘えられるのは嬉しくて、軽く前だけを合わせた私は信長様の頭を撫でた。