第14章 かくれんぼ
「でも、また逃げたくなったら…?」
「逃げたければ好きなだけ逃げよ。オレがその度に見つけてやる」
信長様はそう言うと、私の背中に腕を回し信長様の膝から絨毯へ私の体を倒した。
「そして教えてやる。俺がどれほど貴様に溺れているのかを…」
不敵な笑みが近づけば、
「……んっ」
熱い口づけで気持ちを伝えてくれる。
「逃げるのは構わん、だが俺から逃げられると思うな。貴様は生涯俺から逃れることはできん」
「私だって、逃げないつもりです」
「どうだか…」
この展開を楽しんでいる信長様は、私の襦袢の紐を解いて首の付け根辺りにチクッと痕を付けた。
「っ、あ、ダメっ!あまり痕を付けないでくださいっ!」
信長様の頭に手を置いてやめて欲しいと訴える。
今朝起きた時は朝餉に間に合う様にと急いでいた為気づかなかったけど、さっき湯浴みをした時に、余りの痕の数に驚いた。
こんなにもキスマークをつけられたのは初めてだし…しかも喉のこんなところ、絶対に隠しきれないっ!
「ちょっと、付けすぎだと思います。これだと隠しようがなくて恥ずかしいです」
動きを止められ不愉快な顔で私を見る信長様に、私は再度お願いをした。
「阿保言え、これでもかなり手加減した」
「は?」
これで手加減って、冗談でしょ?
「貴様をこの腕に抱けた喜びには勝てなんだ」
「……っ、」
今の言葉はズルい。
しかも、そんな清々しい程に言われると何だか私が悪いみたいに思えて来る。
「でももう見える所はダメですからね」
「約束はしかねる」
「ええっ!」
「伽耶、俺たちの関係については貴様の自由で良いと言ったが、これだけは俺のやり方に従ってもらう」
「え?」
「貴様を抱く事に関しては、待っても何も聞かん。これは俺の特権だ」
「っ、ん…」
分かったな。と唇が念を押す。
逆らう気持ちごと奪い去る様な口づけに、もう反論はできなくなり、昨夜愛された記憶だけが思い出され体は疼きだした。