第14章 かくれんぼ
「え?それは…」
信長様を好きになってしまったからだけど…
チラッと信長様を見るけど本人は知らんぷりだ。
「その、色々とありまして…」
好きな人ができて、その人の元に何もかも捨てて戻ってって、ワームホールのくだりがなかったら何だか駆け落ちのようで…
答えずらい質問に顔はジワジワと熱くなった。
「政宗その位にしてやれ、小娘の緩んだ顔を見れば分かるだろう?昨夜何があったかを…」
ククッと笑い声を漏らし、光秀さんが爆弾を落とした。
「っ……!」
ボンッと顔全体がそれにより爆発した。
「光秀それは違うな。昨夜じゃない。伽耶の顔を見れば先ほどまで何かあったのは一目瞭然だ」
政宗も言葉をかぶせる。
「ええっ!」
慌てて顔に手を当ててももう遅い。
ついさっきまで甘く責められていたことは確かで、その余韻がまだ顔に残っていた事を見抜かれていた。
顔からプスプスっと、蒸気の噴き出す音が聞こえてきそうだ。
もう、朝にするのは絶対にやめておこう。
こんな事を毎回指摘されたら心臓だけでなく顔も焼け死んじゃう。
「お前らそこら辺にしておけ、伽耶が困ってる」
「秀吉さん…」
(ナイスアシスト!)
「だが大切な事だぞ。伽耶にはこれから、天下人である御館様の想い人としての自覚を持ってもらわねばならないからな」
(え?光秀さん何言ってるの?)
「そうだな、これからの織田家を信長様と背負っていくわけだからな」
政宗もニヤニヤしながら怖い事を言ってきた。
さーーーっと、血の気が引いていく。
「おや、どうした?顔色が急に悪くなったぞ?」
「っ、光秀さん、何でもありません」)
(って、何でもなくなんかないっ!)
付き合い初めたばかりなのに、何で急にこんな話が…?
天下人?
織田家を背負う?
結婚もしてないのにっ!?
「貴様ら、そこまでだ」
「っ、信長様」
多分もう泣きそうな顔になってたと思う。
「伽耶が俺のものである事は今に始まった事ではない。まぁ今後俺から更なる寵愛を受けることは事実だがあまり騒ぐな」
「……っ」
助け舟を出してくれたのか、火に油を注いだのかは定かではない信長様の言葉で、皆の揶揄いの時間はとりあえず終了した。