第14章 かくれんぼ
朝餉にはギリギリ間に合ったものの、いないはずの私を見て広間にいる皆は騒然となった。
転校します。とお別れの挨拶をして次の日も普通に学校に来たら驚くであろうそれと同様に、三成君以外は私を見て不思議顔。
「信長様…」
ツンツンと、横にいる信長様の袖を引っ張る。
「何だ?」
「あの、私がここに残ることになったって、信長様から伝えて頂いてないんですか?」
「いや、何も伝えてはおらん」
「そ、そうですよね…」
逃げた顕如を追いかけた時にチラリとでもみんなに言ってくれてないかと期待をしたけど、命をかけて戦ってる時にそんな呑気なこと話せるわけないよね。
そう言えば、顕如は逃げた先まで追いつめたけれど、寸前で何者かの邪魔が入ったたため取り逃したのだと信長様が教えてくれた。
蘭丸君の事についても、
「分かっておる。奴は優秀な小姓であったからな」
落ち込んでいるかと思ったのに信長様の顔は少し嬉しそうで…その顔に安心した私はもうそれ以上を聞く事も言う事も止めた。
…
………
「貴様の事だ。貴様の口から皆に説明せよ」
「はい」
信長様が上座に座ったのを確認した私は、下座に座って手をついた。
「あの、みなさん…、私、未来へ帰るのをやめて帰って来てしまいました。これからは一生懸命この時代の勉強をして少しでもお役に立てるように頑張りますので、これからも宜しくお願いします」
頭を畳に着くまで下げて生まれて初めての土下座?をした。でも、それ位の気持ちを見せなくてはいけない気がする。
「伽耶、頭を上げろ」
秀吉さんの声で私は頭を上げれば、みんなが優しい目で私を見ている。
「俺はお前がここに残ってくれて嬉しい。よく戻って来てくれたな。伽耶」
秀吉さんは優しい笑顔と温かい言葉をかけてくれた。
「まぁ、あんたがいた方が城も賑やかだから、良いんじゃない?」
「私も同じ事を思っていました。家康様と同じ考えで嬉しいです」
「三成、お前と同じなんて心底嫌なんだけど」
二人のいつものやりとりについ顔が緩んでしまう。
「家康、三成君、ありがとう」
「けどお前、どうしてこの時代に残る気になったんだ?」
質問は政宗から飛んできた。