第14章 かくれんぼ
「っ、寒いわけじゃありません。ドキドキし過ぎで死にそうなので、そろそろ離してもらえませんか?」
拗ねた目も、素肌で感じる逞しい胸も腕も、全てにキュンとして昨夜を思い出してしまい、胸が騒がしくて仕方がない。
「ふっ、煽ってるとしか思えん言い訳だな」
「そっ、そんなつもりじゃ!本当に恥ずかしいのでせめて一枚羽織らせてください」
本当に、その鍛えられた筋肉に直に触れてると心臓が持ちそうにない。
「それは聞いてやれん。貴様をまだ離したくない」
半身身を起こした信長様は私の顔の横に手をつくとキスをした。
「んっ、」
軽い感じかと思っていたら、舌が割り込み呼吸を奪って行く。
「ん、ぅん……」
深く探るキスは、静かな朝の部屋に淫らな水音を響かせる。
(これは…朝からするようなキスじゃなくない?)
しかも、何かが明らかに脚に当たり主張しているような…
「っ、信長様、もう朝ですよね?」
信長様の胸を押して、今が朝である事を伝える。
「それがどうした?」
なぜ止める?と言いたげな顔…
「あの…もうすぐ朝餉に…」
「間に合えば文句はなかろう?」
オレ様な笑みが、私の中の常識を取っ払う。
これをされたらもう逃げられない。
「……っ、んっ、……ぁっ!」
素肌の上を大きな手が無遠慮に滑り有無を言わさぬ熱を灯していく。
「ん…」
朝なのに?とか、朝餉に遅れそうなのに?と言う気持ちよりも朝から求められて嬉しいが圧勝し、私はそのまま信長様に身を委ねた。
とても幸せ…
恋は盲目。
抱き合い口づけ合い求め合う。その甘くてくすぐったい幸福にすっかり溶けきっていた私はその後の事など何も考えてなかった。