第14章 かくれんぼ
人間、そう簡単には変われないらしい……
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「伽耶様〜」
「伽耶様〜、どちらにいらっしゃいますか〜」
「伽耶様〜」
女中さん達の私を探す声が聞こえる。
なぜ私を探しているかって?
それは…逃げ出したから…
何から逃げたのかって?
それはもちろん、信長様の恋仲と言う現実から……
逃げ込んだ場所は天主の下の階にある武器庫。
ここは御殿の方にある武器庫とは違い、籠城しない限りはほぼ使うことのない武器庫だと言っていたから、灯台下暗しじゃないけど、ここに逃げ込んだ。
「どうしよう…勢いで逃げちゃったけど…」
こんなの時間の無駄で何の解決にもならない事は分かってる。
なぜこんなことになっているのかと言えば、
話は、今朝に遡る………
………
……
信長様の元へと戻り心と体を通わせ合った次の日の朝、
目を開ければ信長様が私を見つめていた。
私の髪をくるくると指に巻き付け遊んでいる信長様は別れを告げた昨日の朝と同じで、まるでデジャヴの様な朝を迎えた。
「ふっ、やっと起きたか」
「おはようございます」
ただ昨日と大きく違うのは、何も着ず裸で抱き合っていると言う事。
気怠さと共に昨夜の事が思い出され、一気に気恥ずかしさも襲って来た。
「………っ」
(ダメだ、恥ずかしすぎて死ぬ。何か羽織らないと)
横目でチラッと見れば、昨夜脱がされた襦袢が落ちている。
少し体を起こし手を伸ばして取ろうとした時、
「わっぁ!」
その手を絡め取られ信長様の胸の中に崩れ落ちた。
「なっ!いきなりビックリしますっ」
しかも今ので体が隙間なくくっついて、変に息が上がってしまう。
抱かれる直前の昂った気持ちの時ならまだしも、朝の冷静な時にこの状態は心臓に悪すぎるっ!
「逃げようとする貴様が悪い」
少し腕を緩め拗ねた目で私を見る信長様。
「逃げたわけじゃ…ただ何か着たくて…」
「寒いならば俺にしがみつけばいい」
足までもが絡みつき、ますます密着度が増した。