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【イケメン戦国】オレ様とカエル

第13章 中秋の名月



「信長様っ!確か京にいたはずでは…」
(何でここにっ!?)

「あんな退屈な所、抜け出してきてやった」

「えぇっ!」
(今頃御所は大騒ぎなんじゃ..)

「つべこへうるさい、行くぞ」

「えっ、…きゃあっ!」

驚く私に構わず信長様は私の膝裏に手を入れ抱き上げる。

わぁっ!と、子どもたちから歓声に近いどよめきが起こった。


「っ、信長様、恥ずかしいから下ろしてください」

いきなり現れていきなりお姫様抱っこってどうなってるの?


「暴れるな、こうでもせねば貴様を連れて帰れん」

「普通に歩いて帰れますっ、それにお月見会が…」

きっと子どもたちが一生懸命作ってくれたであろうお団子を食べずに帰るなんてできない。


「伽耶さん、私たちの事は気にせず信長様とお戻り下さい」

私たちのやりとりを聞いていた良心さんが気を利かせてくれる。

「でも子どもたちがせっかく…」
(今日で最後なのに…)

子どもたちを見ると、そのうちの一人がダッと走ってお寺の中へと行ってしまった。

「あ、待って…!」
(やっぱり、傷つけてしまった)

「信長様っ、下ろしてください」

「ならん」

「信長様っ!」

いつも以上に強引だ。

下ろしてくれそうにない信長様の腕の上でバタバタしていると、さっきの子がお寺から戻って来た。

「お姉ちゃんこれ…」

小さな手で渡されたのは、和紙に包まれた月見団子。

「本当はお姉ちゃんと一緒に食べたかったけど、信長様の事も好きだから我慢する」

「…っ、いいの?」

「うん、今までありがとう。お姉ちゃんの事、ずっと忘れないよ」

まだ幼いのにオレ様よりなんて大人なの?  

ジトっと信長様を見ると、しれっとそっぽを向いた。

(あ、知らんぷりした…!?)

信長様がこう言う態度をした時は、何を言っても聞いてくれない時。

「ありがとう。私もみんなのこと忘れない」

小さな手から受け取った団子を一つ口に入れた。

「美味しい。みんなありがとう。元気で幸せになってね」

泣かないつもりだったのに、お団子が本当に美味しくて優しくて、我慢できなかった。

みんなが手を振って見送ってくれる中、私は信長様の馬に乗ってお城へと戻った。




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