第12章 戦
「その規模と状況によるが、此度はあまり長引かんだろう10日もあれば安土に戻れる」
「10日…」
そんなにかかるんだ。
「じゃあ安土に戻ったらもう帰り支度を始めないとですね」
「貴様もぶれんな。…まぁ良い、そのわーむほーるとやらは、いつ現れる?」
寂しげな突っ込みに胸はちくっと痛んだけど、信長様はその先を聞いてくれた。
「あの、多分私が来た日からちょうど三月後だと思います」
って、佐助君が言ってたよね?
「?随分と他人事のように話すが、貴様自身で確かめたわけではないのか?」
「えっと…違います」
鋭いツッコミ…!
その通りなだけにうまく切り返せない。
「では誰の入れ知恵だ?」
「それは…」
「そもそもその情報はあっておるのか?」
「え?」
「その者が誰かを言え」
「ちょっ、ちょっと待って下さい」
そんな矢継ぎ早に聞かれても答えられないよ。
そもそも、佐助君の事は話しても大丈夫なのかな?
ある武将の忍者だと言っていたけど、その武将が誰か分からないし。
「あまり良く知らないので、説明はできませんが、確かな情報源です」
「は?何故そう言い切れる?そもそも、俺の気持ちは信じれぬと言う割に、あまりよく知らん奴は信じられるのか?」
「うっ、それは…」
「其奴は貴様の何だ?男か?女か?」
じっ、尋問!?
でも確かに信長様の言うとおり、佐助君には一度会っただけでそれ以来会っていないし、細かな約束は何もしていない。
………あれ、私…楽観的すぎる…?
「伽耶」
「待って下さいっ、」
苛ついた声が私の腰にまわした手に力を込め引き寄せる。
「今、考えてますから、ちょっと待って下さい」
急かされると余計に不安になってしまう。
佐助君の事を疑った事はなかったけど…
何だか痛い所を突かれた気がして、途端に息が上がった。