第12章 戦
「どう…して?」
戦に連れて行くなんて…お願い、聞き間違いだと言ってほしいのに、
「俺の生きる時代を、この乱世を貴様は見る必要があるからだ」
信長様の口からはまたもや意外な言葉が…
「……っ、だから、なぜですか?」
何故急にそんなことをっ!?
朝の厨から、信長様の態度は何かおかしい。
「伽耶」
信長様は私の両手を取るとその大きな手で包み込み、私に真剣な眼差しを向けた。
「俺は貴様を側に置くと決めた。元の時代には帰さん」
「……え?」
包み込む熱い手と熱い眼差しに心はときめくけれど…
今、信長様はなんて言った?
(私を側に置くって、帰さないってどう言う意味?)
「私…この時代に残るなんて言ってませんよね?それに、賭けもまだ継続中で…勝敗は決まってません」
訳が分からない。帰さないなんて、急に決定事項のように告げられても「はい分かりました」なんて言えるわけがない。
ときめく気持ちはあれどここは負けてはいけないと、力強く信長様を見つめ返した。(睨むとも言う)
「ふっ…」
信長様は私の視線を柔らかな笑みで受け止めると、いつものように笑った。
「?」
(え、何…?)
「貴様が好きだと気づいた。だから貴様を手放す気はない」
「え……?」
え……?
えーーーっ!?何ですとっ!!?
「貴様を本気で俺のものにしたい」
「なっ、なっ、なっ、何言って……っ!」
本気って…、好きって…
突然の告白に心は素直に喜びに震えた。もしかしたら、一瞬顔も緩んだかもしれない。
でも、
「だ、だからって、はい、なんて言えません。約束したはずです。私が信長様のことを好きにならない限りは元の時代に戻してくれるって…」
それに、
「手放しなくないから戦に連れて行くなんて、逆効果になるって思わないんですか?私の時代は戦はゼロではありませんが、私のいた国ではもう戦はしないって決めていて、だから私は人が殺し合うのを見た事もなければ見たくもないし、我慢できないし、怖いんです。…それに、私は…死にたくありません」
死にたくない。
これが、この時代に残りたくない最大の理由。