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【イケメン戦国】オレ様とカエル

第12章 戦



「信長様…と、伽耶っ!こんなところで何をっ!」

目を見開き驚く秀吉さん。
そりゃそうだ。こんなご飯を作るところで、しかもその作る作業をする台の上で私は押し倒され信長様が覆い被さっていればその反応は当たり前だ。

「ちがっ、違うの秀吉さんっ!」
(まだしてないしってのも変だけどこれは未遂だからっ!!)

「無粋だぞ秀吉、人払いをしてあったはずだが」

怒り口調なのに、私の体を起こしながら楽しげに言う信長様に眩暈を覚える。

「はっ、申し訳ありません。ですが斥候から急な知らせが入りまして」

「何があった?」

「はっ、上杉が、国境付近の支城に攻め入ったとの報告が入りました」

「なに?」

信長様の顔が一気に変わった…

初めて…、ううん、違う、あの本能寺の変以来に見る武将の顔だ…


「皆はまだ広間におるか?」

衿元を正しながら信長様が険しい顔で言う。

「はっ、広間にて御館様をお待ちしております」

「すぐに行く」

「はっ!」

秀吉さんは頭を下げ、チラッと私の方を見て下がって行った。

(絶対に誤解された…!)

事に及ぼうとしていたと思われた事の文句を言いたいけど、信長様の顔が私の知らない信長様の顔になっていて言えそうにない。

「軍議には貴様も参加せよ」

「ぐんぎ?」

初めて聞く言葉…

「戦に向けての会議だ」

「戦っ!誰かと戦うって事ですか?」

「そうだ。詳しくは軍議で話す。一緒に来い」

「っ、はい…」

私の手を引いて台から下ろすと、スタスタと先に広間の方へ歩き出した。

(戦って…戦争って事だよね…?)

小走りで追いかけて前を歩く広い背中に心の中で問いかけても答えは返ってこない。

戦国時代とは、戦ばかりをしていた時代だから戦国時代と呼ぶのだと言う事を忘れていた。

本能寺の変以降、襲われそうになった事はあっても戦はなかったから、この時代にいても平和だと勘違いをしていた。

今までにない信長様の険しい顔や足早に広間へと向かう様に、緊張感が込み上げる。

(でも、大丈夫だよね…?)

本当の戦を見たことのない私は緊張しつつもまだこの時は軽く物事を捉えていて…、
ただ、朝から押し倒され熱を持った体は急激に冷え、嫌な鼓動だけが胸を刻み続けた。



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