第12章 戦
「なっ、なにっ!?何するのっ!?」
「貴様を食すと言ったであろう?」
「し、食すって…」
(やっちゃうってことっ!?ここでっ!?)
「ままままま、待って!」
「待たん」
着物の袷に僅かに指を入れ、信長様は私の首筋に唇を当てた。
「……っ、お願い、待って」
昨日の触れるだけのキスから押し倒しなんて、急なハードルアップに混乱してしまう。
「伽耶 」
そんな私にお構いなく、信長様は艶っぽい顔で私の名を呼び顔を近づけた。
(…っ、キスされるっ!?)
色んな感情がごちゃ混ぜの中、ギュッと目を閉じた。
ガジッ!
「……っ!」
それは、予想していた感触でもなければされると思っていた場所でもなく、信長様は私の鼻を噛んだ。
「なっ……!」
噛まれた鼻を手で押さえ睨むと、
「ふっ、俺から逃げた罰だ」
拗ねた顔でそう言われ、ゆっくりと体を起こされた。
「俺から逃げるな。次にやったらこれ位ではすまさん」
その言葉と表情から、本気だと分かる。
「……っ、別に逃げてません」
「まだ言うか?」
カクンと、体は再び台の上に倒された。
「どうやら、本気で示さねば分からんらしいな」
長く逞しい手は私の着物の裾をゆっくりと伝って降りて行く。
着物伝いに触れられる肌がぞくりとして体がピクッと反応した。
「…っ、わ、分かりました。もうしませんっ、逃げませんからっ!」
ほんの少し触れられただけで体が反応してしまう事を悟られたくなくて、私は体を捩って降参した。
「分かれば良い」
チュッと、頬にキスが落ちる。
「……っ!」
「これくらいは許せ」
ニッとオレ様な笑顔に胸は正直にキュンとしてしまう。
「ぅー、どのくらいも無理です」
(何だか、オレ様と強引さに磨きがかかってないっ!?)
もう何をされても”好き”が増えてしまいそうで…
じっと向けられる熱い視線から目を逸らし顔を廊下の方に向けた時、
「信長様っ!失礼しますっ!」
秀吉さんが慌てた様子でやって来た。