第2章 無人島か戦国時代か
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佐助君の話は、分かり易くて少し難しかった。
とりあえず分かった事は、彼は大学院生で、あの石碑にはワームホールと言う時空の歪みが出現することを知っていて来たと言っていた。
私を巻き込んではいけないと思ってはいたけど、私が何やらお祈り中だったから、そのお祈りが終わるのを待って声をかけようとした時にワームホールが出現してしまい、一緒に飛ばされてしまったと言う。
そして佐助君は私とは違って四年も前の戦国時代に飛ばされ、そこで忍者の修行をしながら私が現れる事を待っていてくれたらしい。
にわかには信じられないほどの内容だったけど、パルクールの様に天井から降りて来た彼を見た私としては信じざるを得ない。更に彼は、そのワームホールは三ヶ月後に再び現れ私たちはそれで現代に帰れるのだとも教えてくれた。
話が飲み込めた後は私の質問タイムとなった。
本能寺で信長様を助けたことによって歴史を変えてしまったんじゃないかと言う問いに対しては、
「実は、俺もある武将の命を救ってる。だから、変えてしまったとすれば俺が最初だと思う。そして伽耶さんがその四年後に現れて信長を助けたことによって更に変わったのかもしれない。実際この戦国時代は俺たちの習った歴史とは色々と違ってるみたいだ」
「それは私もなんとなく感じていたけど…じゃあ私は何もしない方がいい?」
これ以上何かが変わってしまったら、何か悪影響があるかもしれない…?
「俺にもよく分からないけど、俺と君がそれぞれその時代に飛ばされたのにはきっと意味があると思ってる。それに”たられば”の事を考えても仕方ないしね。それよりも君には三ヶ月間。この戦国ライフを楽しんでほしい」
「戦国ライフを楽しむ…?」
そんな事考えもしなかったけど、同じ境遇の佐助君から言われると素直に「頑張ってみる」と答えることができた。
佐助君は私の疑問を全て解消し説明を終えると、また天井から帰って行った。