第11章 晩酌③ 〜祭りの後編〜
「なに?」
「伽耶はその者と二人遊具を作ると言って三成の部屋から書物を借り、嬉しそうにしている姿を俺は見ました。なぁ三成」
「はい、光秀様の言う通り、伽耶様に遊具の作り方の書物をお渡ししました」
「遊具?」
(それが何だと言うのだ?何の問題がある?)
光秀の謎かけの様な言葉にイラついていると、
「お前それって…」
秀吉が言いづらそうに口を開いた。
「ああ、恐らくは大人の遊具(淫具)だ」
(何だとっ!?)
「坊主とは名ばかりの生臭坊主に捕まったってことかっ!?」
秀吉が悔しそうに言葉をこぼすと、
「禁欲に耐えかねた奴らの性癖はかなり特殊だからな……」
光秀はかなりな偏見を口にしてその言葉に応える。
「要するに伽耶は、寺の僧侶に騙されて、貢がされて、その…」
最後の言葉を言うのは憚られたのか、家康は言葉を濁して顔を背けた。
「家康の言う通り、小娘は僧侶に騙され貢がされた挙句、お手製の淫具で弄ばれてると考える事ができるな」
家康の代わりに光秀が楽しそうにその言葉を口にしたが、俺は全く愉しくはないっ!
「っ、最悪だな…俺たちが何とかしてあいつの目を覚まさせてやらないと」
重い口調でそう言うと、秀吉は立ち上がった。
「面白い、俺も行く」
政宗も立ち上がる。
「私もお供させて下さい」
三成も立ち上がり、家康、光秀も立ち上がった。
…面白くない。いや、腹立たしい事この上ない。
「俺が直接其奴と話す。家康、その寺に今すぐ案内しろ!」
蛙憑の難攻不落だと思っていた女が何処の馬の骨とも分からぬ生臭坊主に持っていかれるなど我慢ならん。
(俺の女に手を出したのが運の尽きだ、その首洗って待っておるが良い!)
戦でもこれ程に怒りを覚えたほどがない思いを胸に、俺は秀吉達を引き連れ寺へと向かった。