第10章 夏祭り
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「三成君いる?」
そしてまた次の日、私は三成くんの部屋を訪れた。
「伽耶様。どうされましたか?」
笑顔で迎えてくれた三成君は、今日は眼鏡をかけていた。
「三成君、眼鏡するんだね。カッコいい」
(私こっちの方が好きかも)
「そう言われると照れますね。でもありがとうございます」
照れてハニカム眼鏡男子…なんて萌えキュン。
「私に何かご用でしたか?」
思わぬ萌えポイントを発見して心の中で悶えている私に三成くんはまた笑顔で話しかけてくれる。やっぱり天使。
「あ、うん。探してる書物があって…、書庫にはなかったから三成君が持ってないかなと思って…」
書庫にない場合は、家康か三成くんの可能性が高いと聞いて、まずは三成君の部屋に聞きに来た。
「それは失礼しました。どう言った本をお探しですか?」
「えっと、遊具について詳しく書かれた書物があるって聞いたんだけど…」
明後日の夏祭りに子ども達は参加できないから、せめて楽しい遊具を作ってお寺の境内で縁日のように遊べないかを良心さんと模索中だった。
「遊具、遊具の書物は…あぁ、これのことですね」
平積みにされた書物の山の下の方から三成君は引っ張り出し、書物の山はバサバサと音を立てて崩れた。
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
かなりな散らかり具合になったけど、本人はいたって普通に笑顔で書物を渡してくれた。
「ありがとう。あ、手伝うよ」
散らばった書物達をまた積み上げて、ジェンガのような山が完成した。
「ありがとうございます。伽耶様」
「ううん、こちらこそ、これありがとう」
「遊具に興味があるのですか?」
「あ、うん。ちょっと楽しませたい人がいて」
「そうですか。私に何かお手伝いできる事があれば仰って下さい」
「ありがとう。一人じゃないから大丈夫だよ」
(良心さんはが手伝ってくれるから)
「そうですか。楽しんで下さいね」
「うん、ありがとう。じゃあこれお借りするね」