第9章 視察
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「あれ?この店、Mバーガーじゃない?」
城下を歩いていると懐かし匂いと懐かしい店舗が目の前に現れた。
「なんで安土に?さすがMバーガー。時代を超えて来たのかな…」
…それにしても
「ん〜いい匂い。ポテト食べたかったんだよね〜」
塩がとても貴重なこの時代、塩気のあるものにとても飢えていた。
Mサイズを買って帰ろうと思い赤と黄色の暖簾をくぐろうとした時、
「おっと!」
同じく暖簾をくぐり店の外に出て来た人と鉢合わせてしまった。
「わっ、すみません。って、光秀さんっ?」
(光秀さんとMバーガー、なんて意外なコラボレーション!)
「伽耶、ぽてとを買いに来たのなら一足遅かったな」
「え?……あっ!それっ!」
光秀さんの両手にはたくさんのポテトを詰め込んだ見覚えのある紙袋が…
(ああ、それにしても懐かしいその匂い…)
「家臣達の日頃の労を労ってやりたくてな。悪いが買い占めさせてもらった。今日はもうないそうだ」
「ええっ!そんなぁ〜お願いします。一つだけ売ってもらえませんか?それすごく食べたかったんです」
(もう口がポテトになってるんです!)
「お前は元の時代に戻れば食べれるだろう?あと少しの辛抱だ。諦めるんだな」
「そんなぁー、光秀さん」
「またな」
あぁー行ってしまった。
「クスン。ポテト食べたかったのに…」
諦めて歩き始めると、次はコンビニが建っていた。
「あれっ?家族マーケット!」
ポテトを食べ損ねた口は次なる背徳食を欲している。
「ここはもう家チキでしょ!」
プレーンかなぁスパイシーも良いなぁ、何味にしようかな〜と思いを巡らせながら暖簾をくぐると、
「おっと」
また誰かとぶつかった。
「お、何だ伽耶、お前も買い物か?」
それは、両手にコンビニのビニール袋をぶら下げた秀吉さん。
「秀吉さんっ!そのビニール袋の中って…」
なんだか光秀さんと同じ光景を見ているような嫌な予感が…
「これか?これは信長様に頼まれてな」
「信長様に!?」
「ああ、巷で噂の”ちきん”を買い占めてこいと」
「ええ〜っ!それでもう買い占めちゃったって事ですかっ!?」