第3章 梅の巻
「……乙様もお城に仕えていらしたのですね!」
乙の話を途中まで聞いて春鶯が叫んだ。
「『も』ってことは………?」
「………僕の姉さんも15の年に婢女(はしため)としてお城に上がったんです!」
「へえ…………」
「まだ、小さかった僕を心配して最初の頃はひんぱんに手紙が来てたのですが…………
ある時からパッタリと来なくなって…………」
「………………」
「こっちからも何度も手紙を出したんだけど返事がなくて。両親は『女官にでもなって忙しいんだろう』ってあんまり気にしてなかったけど僕は………心配で…………
乙様!知りませんか?!僕の姉さんを!」
―――――乙の顔色がみるみる青ざめていくのがここからでも分かるね。
「………春鶯、あんたの姉さんの……名前は?」
「梅花、梅の花と書いて梅花です!」