第1章 松の巻
……ショキッショキッ…………
左手で自らの恥毛を摘んですっかりと切り落としてしまった。
「はい!次あんたね。」
隣にいた娘に鋏を手渡そうとするが、受け手の手はぶるぶると震えて掴むことが出来ない。
「もう!仕方ないわね!さっさと脚、開く!」
乙は鋏を持てなかった娘たちの恥毛をも切り落とし始めたよ?すごい娘だね。
「乙!やってやるのは助かるがくれぐれもキズつけるなよ!」
領殿は顔を上げずに言う。
かくして乙と領殿の手によって恥ずかしいトコロを丸見えにされた娘たちは『支度部屋』で髪を結われ、化粧を施された。
「……これでお前たちもだいぶ見られる様にはなったね。」
領殿はぐるりと娘たちを見渡した後、最後に乙に目を落として溜息をついた。
「乙はそのざんばら頭じゃあ化粧も映えないぬえ。」
そして仕上げにこの日だけの特別な衣装が着付けられる。
真っ白な正絹の着物。
花嫁衣裳みたいだねえ。
まあ今夜をもってこの廓に嫁ぐようなものだからね。
真っ赤な帯は細腰ではなく、胸の膨らみの下のところに巻かれ前で結ばれる。
「さあ、準備出来たら行くよ!」
領殿に率いられてやって来たのは『御披露目部屋』。
格子越しに表通りに面しているんだ。
でも今は屏風が立てられて外からは見えなくしている。
既に七つ据えられた『御披露目台』。
左右の奇妙な板に両脚をそれぞれ載せれば恥ずかしいトコロはもう隠せない。
ヒザの下で帯と揃いの赤い紐で板に縛り付けられる。
胸の前で結ばれた帯は一旦解かれ、一度交差されると、台の『背もたれ』部分としっかりと結びつけられた。
そして女中たちの手で次々に乳房が剥き出しにされる。
「すっぽんぽんよりこの方が唆られるだろう?」
領殿は娘たちの前に立った。
「いいかい?旦那様方が近寄ってきたら両手の指でヒダを拡げてよっく見世るんだよ!
やってみな!
ああそうじゃないよ。もっとしっかり開きな!」
なんて屈辱だろうねえ。
だけど娘たちは沼に投げ込まれちゃ堪らないからね。従うしかないね。
日が落ちて、いよいよ『御披露目』の時間だ。
賑やかな太鼓の音を合図に屏風が取り払われた―――――