第2章 赤い髪
とりあえず机と椅子の周りだけ軽く掃除した後、自己紹介が始まった。
「俺の名前はゼン。後ろにいるのが右からミツヒデ、キキ、センリだ。」
「「『よろしく』」」
「お前の名前は?なんでこんなところに?」
「私の名前は白雪と言います。実は・・・」
白雪はここに来るまでの経緯を話してくれた。
「ふーん、金持ちの坊ちゃんに髪色を気に入られて愛妾になれか・・・。」
「はい。だからこれで見飽きてくださいと髪を切って置いてきたんです。」
『ふふっ、そりゃいいね。』
それから話をしながら五人は打ち解けていくのであった。
それから白雪とゼンが森に行き、ミツヒデとキキが一様護衛に向かった中、センリは家の番と本格的な掃除を開始していた。そもそも白雪のことはなんとなくだが信用できると思っている。それに何度もお世話になっているこの家の手入れも誰かがしなければ寂れてしまう。
『髪色が珍しいから愛妾にかあ・・・。』
どこかで聞いたような話だ。センリも珍しい目と髪の色で同じような目にあったことが何度かある。
『タンバルンといえば、ラジ王子にもおんなじようなこと言われたなあ。まあ、ゼン達が守ってくてたけど。』
ラジ王子というのはタンバルンの第一王子で相当なたわけ王子だとクラリネスでももっぱらの噂だ。あの時は大変だったとしみじみと思い返していると、コンコンと扉がノックされた。ゼン達が帰ってきたのかと扉を開けると、リボンを結ばれて布をかけられたカゴが置かれていた。
『なんだこれ、りんご?』
不思議に思いながら一口りんごを齧る。そこに今度こそゼン達が帰ってきた。
「かえったぞーってなんだそのりんご。」
「!!そのリボン!!!切った髪に結んでた・・・!!!」
「おいおい、ここまで追ってきたのか?どんな執念深いお坊ちゃんだよ。」
「いや、実は・・・。」
「相手はタンバルンの第一王子!!?」
「あのうつけと有名のか。」
『あんの第一王子・・・!!』
中に入って詳しく事情を問い詰めると白雪がそう言った。
「な、なんかセンリさんがとても怒っているように見えるんだけど・・・。」