第2章 赤い髪
ミツヒデとキキが城の衛兵をバッタバッタと倒し、その間をゼンとセンリが駆けて行く。
「センリは部屋で寝てても良かったんだぞ!」
『誰が!それにあの王子に一言いってやらないと気が済まない!』
「ははっ、無理はするなよ!ミツヒデ!キキ!俺とセンリは先に行く!ここは頼んだ!」
「「了解!!」」
そうして白雪と王子がいるだろう部屋の扉の前に到着した。ゼンが扉を勢いよく開ける。
「白雪!」
「これはこれはご友人殿、この度は手違いで毒を盛られてしまったとか。お気の毒でしたなあ。おお、これはセンリ殿!やはり愛妾になりたくなりましたかな?」
『誰がなるもんですか!白雪大丈夫?』
「ゼン!センリさんもどうして・・・。」
白雪は驚いていた。センリが毒を盛られながら動けていることだろう。
『毒にはちょっとだけ慣らされてるからね。大したことないよ、大丈夫。それよりも、』
そう言ってセンリはラジ王子の方を向いた。
『ご無沙汰しています、ラジ王子。そのせつは大変お世話になりました。その際に言ったことをラジ王子は覚えていらっしゃらないようで。』
「あ、いや、その、」
『もう二度とこのようなふざけたことはおやめくださいと申し上げたはずですが?これは一体どういうことなのでしょう?』
にっこりと微笑んでラジ王子に言う。あら、微笑んでいるはずなのにラジ王子の顔が真っ青です。どうなされたのでしょう。ふふふ、怒りが止まりません。
「美人が怒ると怖いってほんとだったんだ・・・」
白雪が何か呟いていますが、私には聞こえません。さあ、今度はゼンの番です。ゼンに目線を送るとゼンは頷いてラジ王子に剣を向けた。
「俺たちと白雪は友人だ。」
「おい、この僕に剣を向けるとは失礼だぞ!衛兵!このものを捉えよ!」
しかし衛兵は来ない。扉の前でミツヒデとキキがそれぞれ衛兵の首に剣を当てているのが見える。
「なに!貴様ら!」
「この剣のつかをよく見られよ、ラジ王子殿。」
「なんだ、この文様がなんだと言うのだ!」
「これはクラリネスの王族しか持ってはならない文様だ。自己紹介が遅れましたな、ラジ殿。あらためて、クラリネス第二王子ゼンだ。センリの時も随分とお世話になった。会うのは初めてになるな、よろしくお願いする。」