第2章 赤い髪
懐かしい家屋がセンリの目の前に近づいてくる。
「おー!久しぶりに来たなこの家も。」
「ゼン、確認もなしに扉開けるなよ。」
「気配なかったし大丈夫だって。」
「ミツヒデは相変わらず心配性だね。」
「俺はゼンのためを思って言ってるんだ!」
ゼン、ミツヒデ、キキ、そして私が暇があるたび訪れるこの家は最近ゼンの仕事が忙しいせいでなかなか来れていなかった。中に入って埃まみれのこの家をまずは掃除を始めるところからかと見渡していると、ゼンがいつの間にか外に出て塀を登っていた。
『ちょっと、ゼン!危ないよ!』
「大丈夫だって!よっと、うおっ!!」
塀から飛び降りたゼンが叫び声を上げた。何があったのかと塀を回り込んで向かうと、フードをかぶった人とゼンが対峙していた。
「ゼン!大丈夫か?」
みんなでぞばに駆けつけると鞘に入ったままの剣をフードの人物に向けている。そのままフードを払うと緑の目をした可愛い女の子が現れた。何より驚いたのはその子の髪が珍しい赤色をしていたことだった。
『綺麗な赤色・・・。』
すると女の子が徐に何かを取り出した。
「その怪我、私を避けた時にできたものでしょう?これは私が作った傷によく効く薬なのでよかったら使ってください。」
「俺はよく知らない赤の他人から毒かもわからないものを自分に使う気にはなれないな。」
すると赤髪の女の子が急に自分に向けられている剣を掴んで自身の腕に振り下ろした。鞘に入ったままといえど勢いよく振り下ろされたその腕は赤くなっていた。そこに先程の薬を塗り、この薬は毒など入っていないと主張した。
「はっはっはっは!これは悪かった、ありがたく使わせてもらうよ。」
ゼンは薬を塗り、私はひと段落着いたかと女の子に近づいた。
『腕大丈夫?だいぶ勢いよく行ったけど・・・。女の子なんだから怪我には気をつけなきゃ。』
「あ、はい大丈夫です。ありがとうございます。」
『立ち話もなんだし家に入って落ち着いて話したら?埃まみれだけど。』
そう言って家の中に案内した。