【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第10章 キロランケニシパ
キロランケが第七師団にいた、と言っていたが鶴見中尉と関わっていたかどうかは判断できないままでいたのだ。
それならば、第七師団に身を置いていた谷垣に見てもらえればすぐに分かると思っての行動である。
杉「外で馬の世話してるやつだ」
谷「どこだ? いないぞ?」
キ「そのトンコリ(五弦琴)……懐かしい。アシリパの父親が樺太で手に入れたものだ」
杉元と谷垣の2人が会話していると、気配なくチセの中に入ってきたキロランケ。突然現れたキロランケの姿に杉元、谷垣だけでなく、白石も驚く。
キ「おや? おまえは……」
キロランケが谷垣の姿を見ると、声をかけてきた。
今の谷垣は軍服を脱いでおり、アットゥシを着ているのだ。傍から見ればアイヌにしか見えない。
だがしかし、ここで谷垣の事が分かるようであれば、キロランケは鶴見中尉の部下であることが確定し、ユメコ達の敵だと判断できる。
杉元は様子を伺いながら、さり気なく自らの武器である銃に手をかける。
杉「知り合いかい?」
キ「アシㇼパの叔父だっけ? あれ? でも耳が……」
どうやらキロランケも谷垣もお互いのことを知らないようだ。これでキロランケが鶴見中尉の部下ではないことが判明した。
問題がひとつ解決したところで、杉元たちは谷垣へ、これまでの事の経緯を話した。
谷「網走へ向かうのか。ここから網走の中間地点に旭川……。旭川は第七師団の本部がある」
白「そうだ。第七師団の本部に鶴見中尉のこと密告したらどうかな?」
谷「本部には鶴見中尉の息の掛かった人間もいる。聯隊長の淀川中佐だ。鶴見中尉は情報将校として二〇三高地の無謀な正面突破で部下を死なせたくないと、淀川中佐に何度も指摘したがすべて揉み消された。それ以来、淀川中佐は鶴見中尉に逆らえなくなった」
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