【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第10章 キロランケニシパ
話を聞いた後、ユメコは杉元たち一行と離れ
少しだけ時間を貰ってお世話になった女将さんたちの営むお店へと来ていた。
ユメコが久しぶりに顔を見せると女将も、旦那さんも嬉しそうに笑い、中々ユメコが顔を見せないから心配していたんだよ、と声をかけてくれた。
女将さんたちに促され、お店で働く子達にも挨拶をし、その際に皆に少し遠出してくるという事を伝えた。
心配しないで欲しい、たまには手紙を書くから、と。
一人一人にきちんと挨拶をした後、少しばかりの荷物を貰い、その足で再びアシㇼパたちが待つコタンへと向かったのだった。
コタンでは既に杉元たちが遠出するための準備や、それぞれの荷造りを済ませ待機していた。慌ててユメコは合流し、来た時と同じようにキロランケの貸してくれている馬へと跨った。
ア「谷垣、フチをよろしく頼むぞ」
『ゲンジロお兄ちゃん、寂しくても泣かないでね!』
アシㇼパはキロランケと共に同じ馬に跨りながら、谷垣へフチのことを頼んでいた。
キ「まずは札幌に寄る必要がある」
『札幌に何かあるんだっけ?』
キ「札幌の鉄砲店に知り合いがいて爆薬や武器を安く買える。網走での計画……場合によっては荒っぽい作戦が必要になるかもしれん」
杉「鉄砲店なら小樽にもあるだろ?」
キ「知り合いのところならアシもつかない。用心しないとな。なあに、札幌なんてあっという間だ」
『(ふむふむ。この時代、普通に銃や武器が買えちゃうのか…。)』
ユメコが二人の会話を聞きながら、住んでいた時代が違うと色々とちがうもんだなぁ。と関心したように話を聞いていた。
しかし、ふと、違和感を感じ振り向くと、1番後ろを着いてきていたはずの白石の姿が見えない。途中で居なくなった事に気がついたユメコたちは懸命に探したが見つけることが出来なかった。
──何故か白石はアシリパたちのコタンへたどり着いていたようで、コタンの少年たちや谷垣に発見された時には、ひもじさからか若干やせ細っていた。