【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第10章 キロランケニシパ
白「やだねえ、戦争帰りは暴力的で」
杉「随分と物騒なもの持ってるじゃねえか。巻き添えは困るぞ」
『いきなりドカーンって爆発したからびっくりしたよ』
キ「さっきのは火薬を少なめに調節してある。おれは工兵でね、二〇三高地では即席の手投げ弾を大量に作ったり…ロシア軍の堡塁に地面を掘って近付いて爆破したもんさ」
杉「なるほど。頼もしい道連れが出来た(油断できねぇ危険な野郎だ)」
白「先を急ぐぜハイヤーッ」
白石が先頭を突っ走りながら、アシㇼパのコタンへ帰ってきた。
チセの中では谷垣がアイヌの民族衣装であるアットゥシを着て、トンコリ(五弦琴)を鳴らし、谷垣の周りではオソマがムックリ(口琴)を【ビイヨヨ〜ンビイヨヨ〜ンビイヨヨ〜ン】と独特な音を出し、熱演しているところだった。
白「え? うそ……谷垣?」
谷「軍服は目立つからアットゥシを着るようにした。着心地は意外といい」
『ゲンジロお兄ちゃん、その服似合ってる…』
久しぶりに見た谷垣の姿に、思わずボソッとユメコが呟けば、ギョッとした顔をしてアシリパと杉元がユメコを見る。
ア杉「「…ゲンジロお兄ちゃん??」」
『あ…ッ』
杉元とアシㇼパに反応されると、しまった!という顔をして思わずユメコは自らの口を手で塞いだ。
ア「ユメコ〜、どういうことだ?」
杉「ユメコさん、一体どういうこと?おれも聞いてないよ?」
白「あ〜…ユメコちゃん、谷垣のことお兄ちゃんが居たらこんな感じなのかと思って、2人が狩りに行って出掛けてる間とか…だいぶ前からそう呼んでんだよ」
杉元とアシㇼパに説明しろとばかりに囲まれれば、どう言えばいいのかわからず白石を見ると、白石が助け舟を出し、2人に説明をしてくれた。2人はまだ詳しく聞きたいようだったが、杉元が谷垣に話があるようで声をかける。
杉「谷垣、ちょっと。こっそり外にいるアイヌの男を確認してくれ」
杉元は谷垣を窓の近くに呼び、外にいるキロランケを確認させようとしていたのだ。