【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第2章 アシㇼパと
「ユメコ!?いつ来たんだ、もうそんな時期か?」
ユメコがアイヌの村、アイヌ語では【コタン】と呼ばれる場所に足を踏み入れると、知り合いのアイヌたちに挨拶をしていく。
挨拶の時の声を聞き付けたのか、1つのチセ【アイヌの家】の中から、仲良くなった少女「アシㇼパ」がキラキラと輝く笑顔で迎え出てきてくれた。
『ふふふっ。アシㇼパちゃんに会いたくて、来ちゃった♪』
「こらユメコ!ちゃん付けせずに、アシㇼパと呼べと何度言ったら分かる!ユメコと私も呼んでいるのだ、お前も私のことはアシㇼパと呼べ。」
会いたくなって、という言葉には嬉しそうに反応するが、ちゃん付けしたことに対してはフンと、鼻を鳴らす少女。
年相応な可愛らしさには、思わずニヤニヤとしてしまうが、持ってきたお土産を手渡すと、彼女の機嫌は治ったようだ。
アシㇼパとは、最近こういうことがあった。街ではこういうのが流行っている。などと近況を報告していると、他のチセや、チセのまわりからアイヌの子供たちがやってくるので、みんなにも声をかけ、お土産を手渡したり、楽しく遊ぶ。
現代だと、スマホやゲーム、テレビ等があるのだが、この時代に来てからはそういうものは無い。
ここの子供たちの遊びもある意味では新鮮で、ユメコはアイヌの子供たちの遊ぶ姿に興味津々だ。
「今日は、もちろん泊まっていくだろう?」
ユメコがコタンに訪れると、必ずと言っていいほどアシㇼパは自分のチセに迎え入れ、泊めてくれるのだ。
ユメコにとってはありがたい話だが、ここの人達。いや、この時代の人達は警戒心が薄いんじゃないかな?と、他人事のように考えながらも、お言葉に甘えて宿泊させてもらっている。
アシㇼパの祖母であるフチにも、しっかりと挨拶をするが、ユメコにはアイヌ語やアイヌの文化は分からないので、その度にアシㇼパに通訳のようなものをしてもらったり、説明を受けたりする。スマホがあればなんでも検索できるのになぁ。と思いつつも、無い物ねだりなので、仕方がない。
面倒くさがらず、しっかりと根気強く教えてくれるこの少女には、本当に頭が上がらない。
改めて親切にしてくれるアシㇼパやフチ、コタンの皆には対して感謝の言葉を述べた。