【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第10章 キロランケニシパ
キ「名前と顔の傷でピンときた…。不死身の杉元。こんなところで戦争の英雄に出会うとはな」
杉「英雄なもんか。俺は死に損なっただけだ」
『(…鶴見中尉も佐一のことを知ってたみたいだし、よっぽど有名人なんだな)』
キロ 「アシリパはどうしてこの男たちと一緒にいるんだ?」
あむあむと大きな切り身の焼き魚に食いついていたアシㇼパだったが、キロランケに声をかけられると食べるのを止めた。
ア「う〜ん……相棒だ」
アシリパは杉元に目をやりながら答える。その後、ユメコと白石を見ながら
「こっちはユメコ。私もフチもユメコの事は家族だと思っている。そしてこっちのシライシは役立たずだ」
『キロランケさん、さっきから色々とありがとうございます。宜しくお願いします』
アシㇼパに紹介されるとユメコはぺこりとキロランケに、頭を下げ、白石は、もぐもぐと食べ物を口に入れたままドヤ顔していた。
キ「ユメコか。畏まらず、キロランケでいい。…そうか。アシㇼパがそう言うんなら信用できるんだろう。今よりもっと小さい頃から、恐ろしく賢い子供だったからな。最後に会ったのは……お前の父親の葬式か……」
ア「戦争から戻っていたなら会いに来てくれれば良かったのに」
キ「行ったけど、お前はいつも村にいないと聞いたぞ。だから俺はここで待っていた。アシㇼパに、伝えることがあるのだ。年老いた和人がある女性を探していると言った「小蝶辺明日子」」
ア「………!!!どうしてその名前を……。私の和名だ!!その名前を知っているのは死んだ母と父だけなのに」
杉「アシリパさんの和名…?」
『和名って…』
和名と聞けば、ユメコと杉元の脳内には、先日アシㇼパの和名はなんだと聞いていきご老人の顔が思い浮かび上がっていた。
もしかすると、そのご老人がキロランケの村に来たという老人ではないかと思ったのだ。
キ「網走監獄で起きたこと……俺はすでに知っていた。のっぺらぼうは自分の外の仲間に囚人が接触できるヒントを与えていたかさ。「小樽にいる小蝶辺明日子」。のっぺらぼうはアシㇼパに金塊を託そうとしていたのだ。のっぺらぼうはアシㇼパの父親だ」