【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第10章 キロランケニシパ
「アシㇼパか?」
アシㇼパにキロランケと呼ばれた男は立ち上がり、こちらをみると懐かしそうにアシㇼパに声をかけた。
杉「アシㇼパさんの村の人?」
ア「いや、違う村の人だけど。あの人は父の昔の友人だ」
キロランケと呼ばれる成人男性は、アイヌの服を着て、肩まであろう長い髪は緩くパーマがかったように靡き、立派なもみあげ、そして、髭をたくわえていた。
どう見てもこの男性はお色気担当だと断言できそうなほど、色気ムンムンだ。
白「じゃあ話が早いな。なあアンタ、そのイトウ一匹分けてくれよ!飴と交換でどうだい?」
白石がアシㇼパの知り合いならば譲ってくれるはずだと、キロランケへ交渉をしてみる。
キ「こっちに来て自分で捕ったらいい。タモ網を貸してやるぞ」
が、しかし。道具を貸してやるから自分で獲れと言われてしまった。
キ「テシ(杭を立てヤナギの枝を編んだもの)でせき止められた魚を網ですくい取ればいいだけだ」
白「面倒だな」
杉「頑張れよ」
『ドジなオッサンなんだから、落ちたりするようなドジしないようにね』
白「うっせえ!」
先程までドジなオッサンだと杉元に言われていたのを思い出しからかうと、笑いながら白石はキロランケに近づき、自らもイトウを取ろうと歩き始めた。
しかし、歩いてすぐのところで、白石が歩いていた足場が折れ、頭からボチャンと冷たい水の中に落ちてしまった。
杉「何やってんだこのバカは」
ア「すぐに火を起こそう」
『……ドジなオッサン…。ごめん、私がフラグ立ててしまったばかりに』
呆れたような声をかけてアシリパは火を起こし、ユメコと杉元、キロランケが白石を助けようと近寄る
白「ここすげえ深い!! 助けて冷たい!!」
「こっちに掴まれ役立たず」
『大変!早く助けなきゃ!!』
面倒くせぇとばかりに、ゆっくりと手を差し出しながら歩みよる杉元と、冷たいから助けて!と言われればユメコは、慌ててなにか掴めるものがないかと周囲を見渡していた。
白石が水の中に沈みかけた…と思いきや、真下から大きな魚影が現れ、不意に白石が川に引きずり込まれる。