【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第10章 キロランケニシパ
杉「変なジイさんだったな」
『んー、でもアシㇼパのこと可愛いって褒めてくれたから良いおじいさんだよ♪…ああッ、白石!さっきから全然喋らないと思ったら1人だけ黙々とお酒呑んでる!』
再度アシㇼパに膝枕してあげていたユメコは、先程から珍しく会話に参加していない白石を不思議に思い、彼の方をみて見ると、白石は1人、グビグビと酒瓶を持ち上げ、酒を流し込むようにして飲んでいた。
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サクサクと歩く度になる雪を踏みしめつつ、滑らないように注意しながらユメコたち一行は、雪山を歩いているところだった。
サラサラと流れる冷たそうな小さな小川を渡るために、木をなぎ倒し、橋のようにして歩いているところで白石がふと思い出したかのように話し出す。
白「俺達が現状持っている入れ墨は何人分だっけ?」
杉「酒で人生狂ったオッサン。第七師団に頭を撃ち抜かれたオッサン。最後の狼を追っていた漁師のオッサン。ニシン場にいた連続殺人鬼のオッサン。そして、脱獄しては捕まるドジなオッサン」
白石に声をかけられると杉元が丁寧に答えていき、最後にはドジなオッサンときた。そこですかさず白石がドヤ顔しながら
白「俺は脱獄王だッ」
とポーズを決める。
『うへぇ、聞いてると連続殺人鬼って人が1番強そう。んでもって、ドジなオッサンって1番弱そう…』
白「そんなこと言わないでえッ」
ユメコが、チラっと白石を見ながら呟くと、先程のドヤ顔が嘘のようにショックを隠しきれず、膝から崩れ落ちるようにガックリと項垂れて見せる白石であった。
杉「鶴見中尉が持ってる刺青人皮は白石が見た一枚だけなのかな?」
白「さあどうかな」
杉「あと土方が囚人を集めて仲間にしているかもしれないんだよな? 土方を見つけられたら一気に入れ墨が集まる可能性が高いな。土方歳三か……どんな男なんだろう」
白「とても70を超えてるとは思えねえ若々しさがあったな。【人魚の肉】でも食ったんじゃないかって囚人たちから言われていた」
ア「にんぎょ?」
杉「上半身が人間で、下半身が魚のバケモノさ」
『いやいや、違うよ!!バケモノじゃなくて…えっと、こう、こんな感じのお姫様みたいなのもいる…はず!』