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【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】

第9章 囚人 辺見和雄




『へぇ、こんな綺麗な目をした人がこの子以外にもこの辺りに居るんですね(わぁお、おじさんさっきと雰囲気変わってキリッとしててイケおじ!!ロシアには、こんな綺麗な瞳を持った人ばかりなのかな?)』

老人「この子の名前は?」

杉「………アシㇼパ」

老人「……和名は?」

杉「和名?」

老人「戸籍上の名前があるはずだ」

杉「さあ…聞いたことも無いなあ。ユメコさんは知ってる?」

『ううん、私も知らない』


そんな会話が繰り広げられる中、既に夢の中へと旅立ったアシㇼパは老人の腕をヨダレで濡らし始めていたので、ユメコは慌てて持っていた布でアシㇼパの口元や、ご老人に断りを入れ、アシㇼパのヨダレで濡れたご老人の服をポンポンと拭っていた。


老人「そうか。今にも血が吹き出しそうな生々しい顔の傷。「梅戸」も似たような傷があった」

和名という言葉すら初めて聞いたユメコたちは、不思議そうに答えると、ご老人は特に名前に関しては食い下がることも無かった。そんなご老人は杉元を見ると、昔の知り合いを思い出したのか、急に知らない名前を出してくる。


杉「ウメド?あんたの友達かい?」

老人「だがその内に秘めたる凶暴さは…鍬次郎かな」


杉元を見ながら、ウメドやクワジロウと名前を出し始めた老人に、杉元本人は「(………ボケてんのかなこのジイさん)」と思っていた。老人はユメコのことも見つめると


老人「…ふむ。先程から見ていると、君は子供のことが好きなようだ。それに、無邪気に笑う……沖田かな」


ユメコのことを懐かしそうな、すこし寂しそうな目でみつめる老人は、「オキタ」を思い起こすと言い放つ。


老人「じゃあ、失礼するよ。アシㇼパちゃん、元気でな」


よっこらしょ、と言わんばかりに立ち上がったご老人は、アシㇼパをユメコに返すと、先程までの顔つきとは変わり、元のふにゃふにゃしたような顔で、ヨチヨチとした少し危なっかしい歩き方をしながら元来た道を帰って行った。

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