【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第9章 囚人 辺見和雄
杉「じゃあシャチを食べることもしないのか。無駄な殺生を……」
ア「死んで浜に打ちあがったレプンカムイは食べる」
杉「なんだ…やっぱ食べるのかい。シャチって美味いのか?」
白「シャチだってクジラの仲間だろ?クジラは美味いぜ。近畿地方のハリハリ鍋とか」
『ハリハリ鍋!?なんか凄そうな名前。私の時代だとクジラは捕鯨の規制があったはず…。レアな食材だと思うんだけど、シャチは分からないな…』
白「俺が食ったクジラの肉って「シロデモノ」って言って皮下脂肪なんだよな。赤身の肉は日持ちしないから流通しないんだよ。赤みが食えるいい機会だぜ!」
ア「鍋にするのか?わたしたちもクジラやシャチは煮込んで食べる」
白「うーん、また鍋か……」
ア「アイヌの基本は汁物だからな」
白「そうだ!せっかくこんなに脂身が手に入ったんだから揚げ物にしよう!」
良いことを閃いた!とばかりに、パアアアアアッと効果音がつきそうなほど顔を輝かせる白石。そんな会話を続けていく一同の後ろの方では、アイヌの人達が手際よくシャチを解体している。無駄がなく、慣れた手つきである。
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白石がテキパキと食事の準備を進めていく。シャチの脂肪を刻み、炒って油をだ出す。コミュニティー能力の高い白石は、漁村に行くと肉と調味料を交換し、調達してきた。
竜田揚げにするらしい。
慣れた手つきで淡々と下味をつけ、衣を纏わせ、調理していく白石。
コミュ力も高くて調理も出来る白石、この男…出来る!ヒモでさえ無ければ、モテるだろうなぁ。と思いながらユメコは自分に出来る範囲の調理を手伝いつつ、白石を見ていた。
白「出来た!鯱の竜田揚げだ」
杉「こんなもん誰も食べたことないだろうな。いただきます」
『うわっ、美味しそう!ありがとう白石、いただきます』
杉「は…はふ、はふはふ…はッはッ……はちッッ………はちいッッ」
『…あっつ!……はふっ…ん』
出来たての竜田揚げを猫舌のユメコは、ふーふーと息を吹きかけ程よい温度にしたところで口に含んで行く。