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【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】

第9章 囚人 辺見和雄




アシㇼパと白石は、ユメコと杉元が恥ずかしい目にあったことを知らないし、「精子」という単語に反応を示すユメコのことを不思議に思いながらも、「こういう会話が苦手なのか、それとも奥手なのか」と、都合のいい方向への考えに至っていた。


昆布にニシンの卵がついたものが、高級食材の「子持ち昆布」だと、白石が漂ってきた子持ち昆布を掴みながら教えてくれた。
白石はお腹がすいているようで、「生のまま食べれるかな?」とお腹をぐうっ、と鳴らし、先程漂ってきた子持ち昆布を食べるかどうか迷っている。


「アシㇼパちゃん食べてみる?」と声をかけるが、「いらない。白米たべたし」と断られると、「ずるい!」とショックを受けていた。
「袖についてる乾いたオコメ食べるか?」と彼女が状態っぽく聞くと──余程お腹がすいているのだろう。彼女の袖から乾いたオコメをとり、ボリボリと食べている。


『白石、あとでご飯を沢山食べようね』


可哀想な子を見る目で白石を見ていたら、白石が「ハラヘッタから早く食べたい」と、視線で訴えてきているようだった。



白「ここまで逃げたらもう充分だろ?シャチのヒモ切って帰ろうぜ。なあ杉元」


舟に揺られ続け、お腹も空いた白石は、そろそろ第七師団の追ってが来ていても追いつくまでに時間がかかるだろうから大丈夫ではないか──そう白石が振り返りながら杉元に問いかけるが、当の杉元は、先程から一切反応を示さない。

彼は無表情のまま、いつの間にか辺見から剥ぎ取ったであろう入れ墨人皮を握りしめていた。
……船には、辺見の遺体はどこにも無い。



──
───
────



暫くすると、ほかのコタンのアイヌの人たちがユメコたちをみつけたようで、ユメコ達が乗る舟の周辺に、アイヌの舟が集まってきた。
それに驚いたシャチが岸に向って泳ぎ、浜に打ち上がってくれた為、ユメコたちは無事に海岸に着く事が出来た。


アイヌの人達は、船を引っ張っているのがクジラだと思っていたようで、シャチが浜に上がって驚いているようだった。
アシㇼパが言うには、「それぞれ、山のアイヌはヒグマを山の神と。海のアイヌはシャチを海の神と呼んで、シャチのことはクジラの肉を届けてくれる重要な神様と考えてる」との事だ。


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