【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第9章 囚人 辺見和雄
ア「「沖にいる神(レプンカムイ)」が人を襲うなんて。本当はクジラを追ってこの時期集まってくる。私たちはシャチに追われて浜に打ち上がった「寄りクジラ」も食べる。だからシャチは肉を届けてくれる神として、「獲物を浜にあげる神(イソヤンケクル)」「それ(クジラ)をいじめる神(イコイキカムイ)」とも呼んでいる」
アシㇼパからアイヌのシャチに対しての扱いを聞きながら船を漕いでいると
──ボオオオオン
「!?」
白「シャチが辺見を投げてる」
杉「なにやってるんだ?」
『ひぃッ(あれ、テレビで見たことあるやつじゃん)』
ア「ヒグマのリコシノッ(投げ上げ)と同じようなものか」
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シャチが捕まえたアザラシなどを投げ飛ばしたり尾びれではね飛ばしたりする謎の行動は、子供に狩りを教える説や獲物の抵抗を完全に無くさせるなどという説もある
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何度もシャチは辺見を海中に引きずり込んでは足や腕を咥えこみ、まるで玩具のように空中へと投げ飛ばしている。
シャチは顔やカラダ、尾びれを使い辺見を弄ぶ。
バシンと強打される音や、バシャンバシャンと海面に叩きつけられるような痛ましい音が舟の上まで聞こえてくる。
白「第七師団だ!アイヌの舟を奪って追ってきたッ」
白石が指さす先を見れば、第七師団がアイヌの舟を奪い、統率のとれた動きでこちらに向かってくる様子が見えた。─といっても、ユメコはそこまで目がいい訳では無いので白石情報なのだが、鶴見中尉らしき人物がこちらをみているらしい。
杉「何のつもりにしてもシャチがすぐ喰わねえってんなら…このスキに取り戻すしかねえ」
そういうと、杉元は急いで軍帽以外の全ての服を脱ぎ始めた。──もちろん褌も。
『ッ!?アシㇼパ、見るんじゃない!!』
船を漕いでいた手を止め、思わず何事かと杉元を見てしまっていたが、ハッとしてユメコは杉元から顔を背けつつ、幼い彼女には悪影響だと判断し、アシㇼパの顔をユメコの手で覆う。
アシㇼパはいきなりユメコに目や顔を手で覆われたことに驚き抵抗していたが、杉元がガサゴソと服を脱いでいる音に耳を澄ませているようだ。