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【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】

第9章 囚人 辺見和雄



アシㇼパはそのままユメコを連れ、海岸が見渡せる少し小高い丘に向かった。

そこからは何艘かの舟やアイヌの人たちの姿が見える。その中でも坊主頭の白石と、浜に打ち上がった大きなクジラの姿が目に入った。
どうやら白石は無事にクジラを捕まえることが出来たようだ。
ホッと安堵していると、杉元が辺見の手を引っ張りながら白石の元へと駆け寄るのが見える。

しかし、それに気がついた白石が焦ったように杉元を指さし、何かを叫ぶと、杉元が驚いたような表情になり、杉元と辺見はどちらからとも無く、繋いでた手を離す。



辺見が杉元の後ろで玉切り包丁を振り上げるのが見えると空かさずアシㇼパが矢をつがえ、辺見の腕を狙った。
ユメコも辺見が何故か玉切り包丁を持ち、杉元へと振りかざそうとしているのか分からないまま、少しでも軌道をずらすために玉切り包丁の刃の部分を狙い、ナイフを投げた。

アシㇼパの放った矢は辺見の左肘付近に刺さり、ユメコの投げたナイフはカキンッと音を立てて玉切り包丁の軌道をずらす。
その音に反応したのか、杉元が振り返り、銃剣で辺見に応戦し始めた。
アシㇼパとユメコが、杉元、白石達と合流するために海岸へと降りると、白石が叫ぶ。


白「急げ杉元ッ、第七師団が追ってきてるぞ」


白石の言葉に後ろの方を見れば、鶴見中尉と思わしき男性と、それに続く軍服姿の人影が複数見えた。
その間にも辺見と杉元が素早い動きで殺し合いをしている。
白石から事情を聞くと、どうやら助けた漁師である彼が、我々が探していた入れ墨の囚人である辺見だったようだ。
来る道中に白石から聞いていたように、この大人しそうな漁師の彼が、である。
人は見かけによらないとは本当にこの事だと思った。

2人の動きが素早いので手助けしようにも、助けに入れば逆に足でまといになりそうで傍観することしか出来ない。

杉元の銃剣で背中を強打され、倒れ込む辺見。


辺「はあんッ」


辺見が倒れ込むと、空かさず彼の胸に剣を突き立てようと杉元が攻撃するが、彼は剣の刃の部分を両手で掴み、応戦する。
杉元が戦争から帰ってきたばかりの軍人さんというのは、知っているが…囚人である辺見も中々素早い動きをしており、杉元と激しい攻防を続けている。
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