【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】
第9章 囚人 辺見和雄
アシㇼパとユメコがキョロキョロと辺りを見渡しながら建物の外に出ると、杉元と辺見らしき人物が2人で手を繋ぎながら丘の方の家(かなりの豪邸)へと走っていく姿が見えた。
ア「杉元!?」
『…アシㇼパ、先にトイレを借りよう。私、さっきので……』
杉元と辺見が何故私たちを置いて走ってどこかへ行ったのか、なんて分からないがとにかくユメコはトイレに行きたかったので、アシㇼパと共に杉元たちが入っていったであろう豪邸を訪問した。
豪邸からは、どこからともなく綺麗な音色のピアノの音が聞こえてくる。
「あらまあ可愛らしいお客さんたち。誰か探してるの?え?なに?「お便所を借りたい」ですって?」
ア「んんッ、へんんッ」
ユメコは、まだ我慢できていたが、アシㇼパはユメコからトイレを借りようと言われたことで、先程まで忘れていたトレイ欲が来たらしく、足や腰をモジモジと動かしては我慢をしている。話すことが出来ないほどのようで、脂汗を垂らしながら唸っていた。
どうにか心優しい女性からトイレを借りることが出来た。
ア「!?ここでオソマしていいのか?」
便器は有田焼という贅のつくしようであった。
女性から便器は有田焼だときくと、『うわ、「有田焼」って懐かしい!』と九州から来ているユメコは北海道で有田焼を目にすることができるとは思ってもいなかった。
トイレを借してくれた女性の家から出ると、先程のピアノの音色の代わりに、どこからともなく激しい銃声が聞こえてきた。
ユメコが思わず音の出処を探そうとキョロキョロしていると、アシㇼパは冷静に自身の持つ弓矢を準備しつつ、矢に取り付けていた毒をナイフで削り取っていく。
アシㇼパが戦闘に備えて準備を始めたのに気づくと、ユメコも太ももに備え付けていた投げるためのナイフを手に持つ。
背負いカバンの中にも色々と入れてはいるが、今は戦況が分からない為、身軽に動けるようにナイフを数本、指に挟む形で持った状態のまま待機した。