• テキストサイズ

【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】

第9章 囚人 辺見和雄



杉「…ユメコさん、なんか人格変わってない?」

ア「いや、ユメコは稀にあんな感じだぞ?特に調理中は…炒め物の際に火が上がったり、包丁を持つと大体あんな風になる」



ザシュッ、ザクッ、と心地よい音を立てて、満面の笑みで玉切り包丁を振り回すユメコをみた杉元は、「いつものユメコさんじゃないみたいだ…」と呟いた。
アシㇼパは見慣れたものだと言っているが、杉元は「でもユメコさん、楽しそうだね」とニコニコと笑っていた。

ユメコが狂気じみた顔で、素早く的確な動きをしながら玉切り包丁を扱っていく姿を見た辺見が、さらに興奮し、鼻息を荒くしながらビクビクっと震えていたのをアシㇼパだけが不思議そうにみていた。





──
───
────





辺「そちらのアイヌのお嬢さんや長髪のお兄さんとは、どういうご関係で?」

杉「この子(アシㇼパ)の叔父とクジラを獲りに来たのさ」

ア「杉元……やっぱり白石を追った方がいい。私たちだけでここにいても意味が無い」

杉「そうだな、ユメコさん、アシㇼパさん行こうか!」

『えー、私は気分が悪くなるかもしれないからなぁ…』

辺「えぇ?(確かに囚人の顔が確認できるのは白石だけだ)」



辺見は白石と合流されたら色々とまずいと思い、急いで彼らがここに留まるよう魅力的な提案をする。


辺「あ…あの!食事だけでもどうですか?命を救っていただいたお礼にと言ってはなんですが。親方に話したら温かい白米を用意してさしあげろと…(まだ行っちゃヤダ…!!)」

ア「白米?」

『白米…だと!?食べたい…!!!』


白米という単語を聞くと、その瞬間アシㇼパの顔がキリッと引き締まった。当時の明治時代では白米は贅沢なものだった。





辺「こちら……身欠きニシンに、きゃべつ、だいこん、にんじんを米麹で発酵させた「ニシン漬け」です」

ア杉「「『いただきます』」」

杉「やっぱりニシンはうまい!程よい酸味と麹漬けの野菜の甘み…白米に合うな!」


辺見に連れられて建物に入ると、彼はご飯を人数分用意してくれた。
みんなで手を合わせてご飯をいただく。

/ 86ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp