• テキストサイズ

【金カ夢】夢の中で……。【Golden Kamuy】

第9章 囚人 辺見和雄




着替えを済ませた彼が建物から出てくると、ニシン漁の仕事場について教えてくれた。
体調も良さそうである。

名前も知らない漁師の彼が言うには、ニシン漁は完全歩合制で、船からニシンを集積所へ運ぶ【モッコ背負い】も一往復いくらで日当制が決まるとか。さばかれ、干されたものが【身欠きニシン】と呼ばれるものだとか、そういう情報を教えてくれた。



杉「これは何をやっているんだ?」

辺「これは「シメ粕胴」といって、さっきの大釜で茹でたニシンの油を絞り出す機械です。残ったものが「ニシン粕」といいます。「ニシン粕」は良質な肥料になるんです。ニシン場の加工品として「身欠きニシン」よりも売れ筋の商品なんですよ」

杉「へえ…」


まるで観光名所に来た時のツアーガイドさんのように細かく色々なことを教えてくれる彼。


辺「搾りたての大きな塊は「粕玉」といって、乾燥させるために細かく粉砕する必要があります。粕玉を切断するのに、この「玉切り包丁」を使います。大きい包丁でしょう?是非おためしあれ……です」


『(今度はテレビショッピングのような感じになった!)』


刀のようにも見えるが、かなり大きめのナタのようにもみえる形の包丁を、ずいっと差し出されれば、杉元がそれを受け取る。


杉「これを切ればいいの?」

辺「あああ…とってもお似合いです」

杉「ほっ」


杉元が玉切り包丁と呼ばるものを振り上げ、勢いよく振り下ろすと、スパンッといい音をたてる。


杉「こんなかんじか?」

『うわぁ、楽しそう!次やりたい!!』

辺「はああッ…………!!!」

ア「?」


ユメコが、気持ちよさそうな音を立てて切れた粕玉をみて、自分もやりたいからと杉元から玉切り包丁を受け取る。

辺見に切ってもいい粕玉を用意してもらっていたので玉切り包丁を握りしめると、先程の杉元を真似ていく。
一方辺見は、杉元の切った粕玉を自分に見立ててビクンビクンと興奮していた。


『はあッ!せいッ!やあッ!!』


PPGゲームでは魔法使いや格闘家、色々な職業がありそれぞれに憧れをいだいていたが、まさかこんな風にバトルアックスっぽい大きな包丁で何かを切る事ができるなんて!とユメコは我を忘れたかのように、興奮気味に粕玉を砕いていく。
/ 86ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp